2010 Fiscal Year Annual Research Report
体液Naレベルセンサー/浸透圧センサーの特性と生理機能の解明
Project Area | Molecular interaction and modal shift of cellular sensors |
Project/Area Number |
18077007
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
檜山 武史 基礎生物学研究所, 統合神経生物学研究部門, 助教 (90360338)
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Keywords | セルセンサー / 神経科学 / イオンチャンネル / ナノバイオ / 生体分子 |
Research Abstract |
本態性高ナトリウム(Na)血症は、血中Naレベルが恒常的に高くなる症状を示す疾患であり、多くの場合、脳内視床下部領域の損傷によるバソプレッシン分泌能の低下が病因とされる。しかし、著明な脳損傷が見当たらない症例もあり、原因不明であった。我々は、そのような原因不明の本態性高Na血症の一症例を解析し、患者血清中に体液NaレベルセンサーNa_xに対する自己抗体が含まれていたことを見出した。さらに、患者血清の免疫グロブリン(Ig)分画をマウスに投与したところ、患者の症状が再現された。患者Igを投与したマウスの脳を調べたところ、Na_x発現部位である脳弓下器官及び終板脈官器官においてNa_Xに対する自己抗体の結合に伴って補体系が活性化し、細胞死が起きていた。本症例では飲水やNa摂取等の行動制御を担う脳内のNa_x発現部位が自己免疫反応により不可逆的に損なわれたために、塩分摂取の制御に問題が生じたと考えられる。また、脳弓下器官及び終板脈官器官に異常が生じたことにより、両者が制御しているバソプレッシン産生部位(視索上核など)の活動が正常に行われなくなり、バソプレッシン分泌能が低下したと考えられた。以上の結果から、体液NaレベルセンサーNa_Xに対する自己抗体の産生が本態性高Na血症の原因となることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)