Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 堅一 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (00295437)
高村 ゆかり 龍谷大学, 法学部, 教授 (70303518)
羅 星仁 広島修道大学, 人間環境学部, 教授 (00342311)
橋本 征二 (独)国立環境研究所, 循環型社会・廃棄物研究センター, 主任研究員 (30353543)
松本 泰子 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (30310527)
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Research Abstract |
分担研究者が各々研究成果を発表しつつ,中間的な研究成果として,全員で『温暖化防止のガバナンス』を取り纏めたほか,『地球温暖化防止の国際的枠組み』にも3人が書いている。 『温暖化防止のガバナンス』では,温暖化防止と持続可能な発展の関係をIPCCが重視したシナジー効果だけでなくトレードオフ関係からも明らかにした。バイオ燃料に対する持続可能性基準など温暖化防止のあり方が制約されることも確認した。京都議定書は,最小の費用で目標を達成するために市場的政策手段を導入したが,費用最小化が最優先されているわけではない。これらの制約は,温暖化防止より広い目的としての持続可能な発展に由来すると考えられる。温暖化防止の費用負担に関しては,回顧的責任に対する展望的責任を提示した。 ガバナンスの視点では,国際,欧州連合,国,自治体という重層構造のそれぞれと,非政府アクターとしてNGOと自治体を分析対象とした。京都議定書については,現状・成果と課題を網羅的にまとめた。欧州連合では,排出権取引とエネルギー政策に関して集権化が進んでいる。欧州連合による温暖化防止政策とエネルギー政策の統合の進め方や,ドイツにおける排出権の初期割当の方法や,有償割当の法的許容性に関する議論は日本にも参考になる。NGOについては,従来から国際交渉に影響を及ぼしていた環境NGOに加えて,開発NGOが,北と南の対立を避けつつ参入に成功したことを明らかにした。自治体に関しては,自治体間ネットワークの現状を分析し,政策の実効性確保を支援する機能が必要であることを指摘した。 2009年12月に行われたCOP15は,われわれの予想を超えて困難な会議であった。COP15以降,コペンハーゲン合意の内容の考察を行い,今後の研究方向の確認を行っている。
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