2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Experimental Social Sciences: Toward Experimentally-based New Social Sciences for the 21st Century |
Project/Area Number |
19046001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
肥前 洋一 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (10344459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船木 由喜彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (50181433)
河野 勝 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70306489)
谷口 尚子 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 准教授 (50307203)
境家 史郎 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (70568419)
荒井 紀一郎 中央大学, 総合政策学部, 助教 (80548157)
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Keywords | 実験政治学 / 実験室実験 / 調査実験 / 観衆費用 / 討議 / 熟議 / 投票参加 / 一党優位体制 |
Research Abstract |
本年度は実験室実験が2つ、調査実験が2つ実施された。さらに、実験に理論的基礎を与える研究が行われた。並行して、これまでの実験データの分析と研究成果の発表が行われた。具体的には次のとおりである。 制裁制度に関する実験室実験では、制裁制度による囚人のジレンマの長期的な解決に、他者の協力行動に関する情報開示がどの程度影響するのかを検証した。他者の行動がより開示されている環境ほど、協力することが支配戦略であっても協力しない人(フリーライダー)の数が増加していくことが観察された。さらに、他者への制裁行動を国際比較する実験も実施された。討議(市民たちが話し合って政策を決める試み)に関する実験室実験では、討議のルールが討議の内容に与える影響を分析するため、被験者を集めていくつかの条件のもとで話し合いをしてもらった。討議のグループサイズと話しやすさ・発言量との間に統計的に有意な関連が確認された。この結果を学会・研究会で報告しコメントを受けたうえで、実験のデザインを改良してさらなる実験が実施された。 調査実験では、投票参加のダイナミクスを検討する実験室実験の結果の頑強性を確認するため、全国規模のインターネット調査を行った。実験室実験と同様に、接戦の選挙で投票参加意向が高まることが観察された。また、民主主義システムのもとでの政治リーダーの行動が有権者の態度に与える影響についても、調査実験を実施した。リーダーの決定がもたらす最終的な帰結の内容にかかわらず、リーダーがひとたび表明した政策を実行しないと、有権者は不支持を突きつける傾向があること(観衆費用の存在)が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験の実施、実験データの分析、学会発表は順調である。論文は、研究成果の多くはすでに国内外の学術誌や図書に掲載され、その一部は期待以上の成果を得たが、まだ掲載に至っていないものが残されている。その掲載を急ぎたい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の後半に予定されていた討議制の実験は、本実験の準備としてのパイロット実験が実施され、その結果と学会報告で受けたコメントに基づく実験デザインの改良が進められている。この本実験の実施とデータ分析・論文の執筆を優先して進めたい。他のテーマの多くについては、実験結果が出揃い、学会報告も多数行われたので、論文・図書の出版を着実に進めることである。
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Research Products
(29 results)