Research Abstract |
西條チームは,公共調達オークションにおける最低価格の決定メカニズムに着目している.公共調達においては,入札者のほぼ全員があらかじめ決められた最低価格そのもので入札を行う結果,抽選で勝者が決まることが多い.これでは各社の本来の技術力などが入札に反映されない.そこで,例えば,入札価格の低い順に5社選び,その平均価格の8割以上のみの札が有効で,その中での最低価格の入札者を落札者とする手法が用いられるようになってきた.この入札の理論的な性能や実験での性能は未知なので,理論分析を行い実験を開始している.理論的にはこの内生的最低価格入札方式が必ずしも機能しないこと,さらにはそれを実験結果がサポートしていることを確認し始めている.西村チームは,米の入札方式に関する理論および実験研究を開始している.米のオークションでは,銘柄ごとに売り手が指し値(最低価格)を入札し,買い手はそれ以上の札を入札したもののみが入札した価格で購入できる制度を取っていた.この入札は売り手の価格および数量維持を狙ったものと思われるが,プロパー均衡を用いると,その均衡は競争均衡と一致する.ただ,制度を設計した者が指し値制限を用いており,このため,長期価格低落傾向が観測されている.実験室でもほぼ理論をサポートする結果が得られ始めている.広田チームは,取引におけるノイズトレイダーの存在がバブルを引き起こすのかどうかに関する理論および実験研究を開始している.ファンダメンタルズを完全に知っているトレイダーとそうでないノイズトレイダーを準備し,どのような環境でバブルが起こるのかを解明しつつある.市場班では,東工大にて3月8日にワークショップを開催した.市場のみに着目するのではなく,他班の中丸氏(東工大,進化生物学),品田氏(北大,社会心理学),西畑氏(国土交逼省,土地バブルの研究),濱口氏(経済学,乗っ取り研究)などもお招きし市場との関わり合いの中でどのような研究が最前線でなされているのかを知ると共に共同研究の可能性を含めて交流をした.繰越金額については、実験を実施するためのソフトウェア、およびサーバー購入に充当し公共調達オークションにおける最低価格の決定メカニズムの実験デザインおよび実験の実施に用いた.
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