2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Experimental Social Sciences: Toward Experimentally-based New Social Sciences for the 21st Century |
Project/Area Number |
19046003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西條 辰義 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (20205628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 直子 信州大学, 経済学部, 教授 (30218200)
広田 真一 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (40238415)
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Keywords | 株式市場実験 / テークオーバー実験 / 不動産取引実験 / 自主流通米市場 / ディマンド・リダクション / 指値 / フリーライダー / 協力行動 |
Research Abstract |
早稲田チームは、これまでに行った株式市場実験、テークオーバー実験、そして不動産取引実験を論文にまとめる作業と、今後に向けて株式市場実験の新たなプログラムの作成に当たった。まず、株式市場実験に関しては、これまでの実験の成果に照らしあわせながら、バブルに関する理論のサーベイ論文を執筆した(証券アナリストジャーナル論文)。さらに、ノイズトレーダーの実験の論文の改訂作業を行った。テークオーバー実験に関しても、前回投稿時のコメントを生かす形で論文の改訂作業を継続した。不動産取引実験に関しては、北海道大学、市場班ワークショップで報告した。さらに、株式市場実験のプログラムの作成は、1年間を通じて行い、その結果、プログラムのテストができる段階まで達することができた。信州チームは、昨年度に引き続き,同じ財を複数単位取引する,売り手が1人のオークションに関して,理論・実験分析を実施した。自主流通米入札市場で過去に実施されたオークションルールを分析対象としている。昨年度末の実験で「Demand Reduction」の現象が観察されたが,今年度はコメ市場における「Demand Reduction」の存在を統計分析的に確認し,この現象は既存理論が想定する効用を持つ個人では説明できないことを示した。また,この現象と売り手による指値の存在の関連性が浮上した。この結果は,2010年1月29日の市場班ワークショップで報告した。大阪チームは、フリーライダーを防ぐ制度設計の不可能性を理論的に示すと同時に、実験では理論値よりも多くの公共財が供給されている点に着目する研究を継続している。非線形の利得関数を用い、ナッシュ行動、パレートを達成する協力行動、利他行動などが区別できるモデルビルディングを行い、かなりのデータがナッシュ行動で説明可能であることを発見すると共に意図的な協力行動も観測している。しかし、利他行動はほぼないことも発見している。また、ニューロサイエンスの技法である近赤外線脳機能イメージング(fNIRS)や眼球運動測定装置(Eye-tracker)を用いて生体計測を行い、それらヒトの行動や意思決定についての脳内メカニズムの解明にも取り組んだ。
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Research Products
(26 results)