2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Experimental Social Sciences: Toward Experimentally-based New Social Sciences for the 21st Century |
Project/Area Number |
19046007
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
竹村 和久 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10212028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 聡 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80252469)
坂上 貴之 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (90146720)
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Keywords | 意思決定過程 / リスク / 不確実性 / 曖昧性 / 無知 / 過程追跡法 / プロトコル分析 / 行動分析 |
Research Abstract |
本研究は、意思決定過程の特徴を、人間を含む動物に関する行動分析学の視点と行動意思決定論の視点を統合し科学的に把握することを目的とした。人々の選好が形成される過程、および社会的状況における意思決定の微視的過程を、種々の基礎心理実験と調査を通じて解明し、その状況依存性を理論的に説明し、人々の決定を予測可能な数理心理計量モデルを構成した。具体的には下記の問題を扱った。 1.意思決定フレームの検討 意思決定問題把握の段階において、その問題がどのように心的に構成されるかによって選択結果が変わるという、フレーミング効果と呼ばれる現象が知られている。本研究では、意思決定における問題把握がどのようになされ、どのような過程で決定フレームが構成され、効果が生じるのかを明らかにした。また、その計量モデルを作成した。 2.評価段階の検討 意思決定の評価段階においては、状態に応じた結果の不確実性に対する評価と、結果の価値に対する評価が行われる。この評価段階の検討を眼球運動測定装置や生理的手法を用いて、意思決定過程の評価における性質を明らかにして、意思決定の数理計量モデルを作成した。 3.選好形成の検討 選好の形成に関する研究としては単純接触効果(Zajonc,1968)などの古典的研究や、近年では下條らのゲイズカスケード説(Shimoj o et al.,2003)などがあるが、我々は検討の結果、これらの理論とは異なり、選択する習慣が選好を形成するとの仮説を構築した。そのため、他の理論との比較を行いながら、これらの仮説を検討した。動物に関する行動分析研究で用いられる強化スケジュールの利用や、心理物理学的観点に基づく刺激の提示によって人間の選好形成に及ぼす要因の効果を実験的に検討し、眼球運動測定装置を用いて、ゲイズカスケード効果の確認と選択反応が選好を形成するという知見を発見した。
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Research Products
(31 results)