2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Experimental Social Sciences: Toward Experimentally-based New Social Sciences for the 21st Century |
Project/Area Number |
19046007
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
竹村 和久 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10212028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 聡 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80252469)
坂上 貴之 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (90146720)
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Keywords | 意思決定過程 / リスク / 不確実性 / 曖昧性 / 無知 / 過程追跡法 / プロトコル分析 / 行動分析 |
Research Abstract |
本研究では、意思決定過程の特徴を、人間を含む動物に関する行動分析学の視点と行動意思決定論の視点を統合しながら把握することを目標にしており、社会的状況における意思決定の微視的過程を種々の基礎心理実験と調査を通じて解析を行った。 具体的には下記の研究を行った。 (1)習慣が選好形成に影響を及ぼす効果の研究 動物に関する行動分析研究で用いられる強化スケジュールの使用や、心理物理学的観点に基づく刺激の提示によって、習慣の要因が人間の選好形成に及ぼす効果を実験的に検討するために、眼球運動測定装置や生理測定装置を用いた。 (2)選択肢が無差別のときの選好の形成過程の研究 動物の行動分析研究で用いられているような強化スケジュールを人間に適用することによって、無差別な選択肢が初期値として与えられた状況において、どのように選好が形成されていくかを検討した。選考の形成過程を測定するために眼球運動測定装置や生理測定装置を用い、種々の計量モデルのパラメータに影響を及ぼす要因についても検討した。 (3)注意と選好形成の研究 眼球運動測定装置を用いて注意と選択行動の関係を計量的に分析する。また、生理的指標を用いて意思決定の過程を同定した。 (4)選好形成のプロセス研究 選好がどのように形成されるか、眼球運動測定装置や皮膚電位抵抗、生理測定装置を用いて認知過程を検討した。 (5)相互作用における意思決定の研究 ヒトを対象に、共同の意思決定状況での情報モニタリング法を用いた課題を実施し、社会的相互作用における選択行動と情報検索行動とを検討した。そのために、眼球運動測定装置と行動解析装置とを併用した分析を行った。 これらの成果は、我々の主催のワークショップ、学会発表論文、学会発表、著書などによって発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の大きな目標を選好の形成過程に焦点を移してきたが、この選好の形成,形成過程を,個人状況,相互作用状況で検討を行っている。選好の形成研究の結果はいくつもの実験をしているが安定した結果が出ていないので、これにやや時間がかかっている。意思決定のマイクロ分析実験についてもおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
眼球運動測定装置を用いた選好分析実験や相互作用実験と意思決定過程と対応した脳機能画像の研究もより活発に行う予定である。また,研究領域をさらに発展させるために、社会心理学者、行動分析学者、工学者、統計学者、脳神経科学者とのこれまでの協力関係をより強化し、さらに、社会学者、経済学者、哲学者などとの研究交流を盛んにすることによって、意思決定のマイクロ過程の更なる知見の展開を目指す。この目的を達成するために、年に数回のワークショップを開催するとともに、市場班、理論班、社会班を中心に領域内の他班との研究・教育連携をさらに推し進める。研究分担者の藤井聡教授が京都にいるが、東京では月2回程度、京都や東京を含めた全体の会議を月1回程度行う。
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Research Products
(28 results)