2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Creation and control of spin current |
Project/Area Number |
19048009
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
前川 禎通 Tohoku University, 金属材料研究所, 教授 (60005973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 道康 東北大学, 金属材料研究所, 講師 (30396519)
高橋 三郎 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (60171485)
家田 淳一 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20463797)
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Keywords | スピン流 / 起電力 / 磁化運動 / 磁壁 / スピンホール効果 / 磁性ナノ構造 / スピン軌道相互作用 / 強磁性・超伝導接合 |
Research Abstract |
近年、電子のスピン自由度を用いる、スピン・エレクトロニクスが注目を集めている。スピンの流れである「スピン流」はこの中心概念を担っており、その全容の把握が求められている。本研究は、磁化の運動に伴うスピン流の生成と電流との相互変換に関する量子論的基礎を確立し、現象の解明と新機能を有する磁気デバイスの開発を目的とする。本年度は、主に以下3項目について研究を行った。 1.磁化運動に伴うスピン起電力の理論:強磁性体中の磁化が運動するとき、ファラデーの電磁誘導の法則が、電子のスピン自由度への影響を含む形に拡張されることを理論的に示し、一様磁場中で磁壁が運動した場合に発生する起電力の値を導出した[米国物理学会Phys. Rev. Lett.誌第98号に掲載]。これは、磁化運動によって起電力が生じることを量子力学的に示したはじめての研究成果であり、スピン・エレクトロニクス全般において今後大きな影響を与えるものである。 2.スピンホール効果による電流・スピン流の相互変換:白金などのスピン軌道相互作用の大きな非磁性金属を用いることで、電流をスピン流に変換し、またスピン流を電流に変換できることを実験グループとの共同で解明し、電流とスピン流の間に相反関係が成立していることを確認した[Phys. Rev. Lett.誌第98号に掲載]。本研究により、電気的なスピン流の生成法、およびスピン流の検出法が確立された。 3.強磁性・超伝導接合系における磁化運動とジョセフソン電流:強磁性体の磁化運動(磁化の素励起であるマグノン)を考慮したジョセフソン効果の理論を構築し、接合界面でマグノンの吸収・放出を伴ったトンネル過程を通して、スピン一重項クーパー対と三重項クーパー対の相互転換がおこる機構を提案した[Phys. Rev. Lett.誌第99号に掲載」。この効果を用いることで、ジョセフソン電流の増幅が可能となる。
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Research Products
(30 results)