2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Novel States of Matter Induced by Frustration |
Project/Area Number |
19052002
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大和田 謙二 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (60343935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 直人 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (30376652)
森 茂生 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (20251613)
冨田 裕介 東京大学, 物性研究所, 助教 (50361663)
若林 裕助 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (40334205)
左右田 稔 東京大学, 物性研究所, 助教 (40463905)
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Keywords | リラクサー強誘電体 / 中性子散乱 / 放射光X線散乱 / 電子顕微鏡・電子線回折 / 結晶成長 / 有効格子模型 / 本質的不均質性 / フラストレーション |
Research Abstract |
我々はリラクサー特有の現象を記述する枠組みを構築するため、「物質合成と新物質探索」「複数の微視的プローブの相補的利用」「空間的階層性を考慮した理論の構築」を行っている。平成23年度の研究成果は以下の通りである。 ・リラクサー-磁気相関の解明:ペロブスカイト系2/3BiFeO_3-1/3BaTiO_3、三角格子系LuFeMeO_4においてPNRサイズのナノ磁気ドメインとそれに伴う超常磁性を観測し、磁性イオンを持つリラクサーにおける共通物性を解明した。 ・PINにおけるフラストレーション、Bサイトランダムネスの役割の解明:Pb(In_<1/2>Nb_<1/2>)O_3(PIN)でのリラクサー状態と反強誘電状態における微細構造の特徴を調べた。リラクサー状態では約5nm程度の極性ナノ分域が、反強誘電状態では<110>方向に4倍周期をもつ秩序構造が形成されている。非弾性散乱の結果と合わせることにより、これらが強誘電-反強誘電相互作用のフラストレーションとランダムネスに起因することが明らかとなった。 ・透過型電子顕微鏡・中性子非弾性散乱で調べたMPB領域における微細構造とダイナミクス、電場効果:電子顕微鏡観察によればPbMg_<2/3>Nb_<1/3>O_3-PbTiO_3のMPB領域では、階層的なドメイン構造が形成されており、単斜晶構造はナノ分域として存在している。また、単斜晶構造での分極方向は、ほぼ<101>方向であることが見出された。一方、リラクサーPMN-30%PTにおける非常に遅い横波振動モードについて、その分散関係と温度変化を飛行時間(TOF)型中性子散乱により詳細に調べ、巨大誘電応答の起源となる分極回転モードの存在を明らかにした。PMN-PTのMPB領域における階層的ドメイン構造の電場応答を観察することに成功した。 ・より一般的な有効モデルの構築:Bサイトランダムネスの効果をBサイトの双極子モーメントサイズとして取り入れた有効スピン模型を構築し、リラクサー領域、MPB領域、強誘電領域のそれぞれの領域におけるBサイトランダムネスの影響について調べた。 ・界面構造の理解へ向けて:界面は異なる秩序を実現しようとするフラストレーションが発生するため機能発現の場となる。リラクサーにおいても界面は重要であるが、その観測は容易ではない。界面を直接観測するため、まずは制御された物質系において表面X線回折法を用いた界面構造解析を行った。その結果、Mn酸化物多層膜における界面の特異な磁性や、LaAlO_3/SrTiO_3界面における異常な伝導性を微視的に説明する解釈を得ることに成功した。
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