2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Carbon nanotube nanoelectronics |
Project/Area Number |
19054005
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
齋藤 晋 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (00262254)
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Keywords | カーボンナノチューブ / グラフェン / 電子構造 |
Research Abstract |
当研究室では、これまでに、百数十種類ものカーボンナノチューブについて、詳細電子構造を解明し、さらに、数十種類のカーボンナノチューブについては、幾何構造も含めた予測研究を達成している。特に後者は、当研究室で進めてきた、螺旋対称性を考慮した密度汎関数法に基づく電子構造・全エネルギー解析プログラムの改良により初めて実行可能となったものであり、世界的に見ても、その様な研究が可能なグループは他にはなく、我々の結果は、非常に貴重なカーボンナノチューブデータベースとなりつつある。今年度は、全エネルギーと各ナノチューブのカイラル角度との関係など、これまでに得られたデータの詳細解析を進めた。その結果。いわゆるアームチェアナノチューブーブの中で、特に実験的にその存在度が高く重要なチューブとして、いわゆるアームチェアナノチューブに近い螺旋構造を持つ「ニアアームチェア」チューブ系が注目されている。そして、これらニアアームチェアナノチューブができやすい、とする実験結果を支持する、大変興味深い全エネルギーの構造依存性を明らかにすることができた。さらに、ナノチューブ系の大半を占める、いわゆる「カイラルナノチューブ」に関して「ひねり」の自由度も含めた構造最適化を行うことで、細いカイラルナノチューブでは、実際に、基底状態において、ナノチューブが自発的にひねられた状態にあることを見いだした。 また、そして、ナノチューブとの比較研究が重要になっているグラフェンについては、グラフェンと同様の原子配置を持つものの半導体である六方晶型窒化ホウ素単層系に着目し、グラフェンとの交互積層超格子系の設計研究を試みた。その結果、グラフェン面は多少広がり、逆に窒化ホウ素面は多少縮んで格子整合した、大変興味深い金属物質となる、との予測が得られた。
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