2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Carbon nanotube nanoelectronics |
Project/Area Number |
19054005
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
斎藤 晋 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (00262254)
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Keywords | ナノチューブ / グラフェン / ナノカーボン / 密度汎関数法 |
Research Abstract |
並進対称性を用いて通常のブロッホ状態を求める電子構造計算プログラムに加えて、螺旋対称性を用いて固有状態と固有値を求める電子構造計算プログラムも併用して、細いチューブから実験的によく合成される直径のカーボンナノチューブまで、幾何構造・電子構造・全エネルギーの系統的かつ総合的研究を達成した。アームチェアナノチューブ、ジグザグナノチューブ、カイラルナノチューブに大別されるカーボンナノチューブ系であるが、その大多数を占めるカイラルナノチューブについては、並進対称ユニットセルが巨大となるため、これまで第一原理電子構造計算が殆ど行われておらず、世界初の成果である。その結果、これまでに光物性で知られていた、いわゆる「ファミリーパターン」と呼ばれるナノチューブのグループ化が、イオン化エネルギーを始めとする電子構造、結合長・結合角などの構造パラメータ、さらには、全エネルギーにおいても成立していることが示された。特に、カイラルナノチューブの中でも、ニア・アームチェアナノチューブと呼ばれる一群のナノチューブが、全エネルギーからみて非常に安定であることが判明した。ニア・アームチェアナノチューブは、実験で合成される試料中の存在度が高いことが知られていたが、その理由を与える結果である。本研究で得られた各ナノチューブの幾何構造、電子構造は、今後のデバイス応用研究に当たっての基礎データとなると期待される。 さらに、グラフェン系において、六方晶窒化ホウ素の単原子層と交互積層した超格子系に関して、その構造と安定性の研究を展開した。その結果、ホウ素と炭素間での層間相互作用が強く、格子整合した金属系になることが判明した。
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