2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | The germline: its developmental cycle and epigenome network |
Project/Area Number |
20062009
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
河野 友宏 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (80153485)
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Project Period (FY) |
2008-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ゲノムインプリンティング / 単為発生 / BACクローン / TGマウス / メチル化転移酵素 / 非コードRNA / メチローム |
Research Abstract |
本特定領域研究では生殖細胞系列において行われるゲノム刷込みおよびそれによる個体発生制御機構の全貌解明に取り組くみ、24年度は、以下の成果を挙げた。 1)マウス12番染色体インプリント領域における非コードRNA群が個体発生に及ぼす影響を実証するために作成したmiRNAsおよびsnoRNAsを過剰発現する2種類のBAC-TGマウスの交配試験を進めた。その結果5世代以降においても、母方からBAC領域が伝達された場合には、安定的に周産期致死を含む顕著な表現型が出現することを突き止めた。現在、miRNAアレイ、mRNAアレイ解析を進行中である。2)雌性生殖細胞形成過程でメチル基転移酵素遺伝子Dnmt3LおよびDnmt3aを非成長期卵母細胞から特異的に発現するTGマウス由来の産子の発生解析から、妊娠初期から中期にかけて顕著な分化・発生異常を発症し、致死になることが明らかとなった。3)以前、我々が同定した刷り込み領域GPR1-ZDBF2において、ヒト・マウスで共通する新たな大型非コードRNA(1ncRNA)、GPRIAS/Zdbf21incを同定した。この1ncRNAはGPRIのイントロン2よりアンチセンス方向に転写される非コードRNAであり、プロモーター領域は胚発生初期および胎盤系列において母由来にメチル化されるメチル化差異領域であった(FEBS Letters 2012、Epigenetics(in press))。刷り込み領域全体を制御する可能性のある機能的1ncRNAの候補として注目される。4)メチローム解析には、少なくとも数十万細胞を必要とされていたが、今回あらたにPBAT法を卵子を含む生殖系列細胞に応用し、2000細胞程度からメチローム解析を可能とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BAC-TgマウスおよびコンディショナルTGマウスの交配試験を5世代以上に渡り実施し、顕著な表現型を確定することができたことは、今後の研究の展開に大きな意味を持つ。これにより、非コードmRNAの機能および卵子メチル化異常の分子生物学的な背景の解明が加速される。
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Strategy for Future Research Activity |
我々の作出したBAC-TGマウスをモデルとして、ゲノムインプリントの新しい役割に大きな意義を持つと考えられる非コードmRNAの機能の解明に取り組み、さらに研究を推進する。また、現在これまでの成果については論文を作成中であることから速やかに論文化を完了したい。いずれにしても、卵子形成過程におけるメチル化機構の人為的制御および非コードRNAの作用についての新しい研究領域を展開したい。
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Research Products
(15 results)