2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Comparative Research on Major Regional Powers in Eurasia |
Project/Area Number |
20101005
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宇山 智彦 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (40281852)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋田 茂 大阪大学, 大学院・文学研究科, 教授 (10175789)
山室 信一 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (10114703)
川島 真 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (90301861)
守川 知子 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (00431297)
池田 嘉郎 東京理科大学, 理学部, 准教授 (80449420)
|
Keywords | 比較史 / 東洋史 / 西洋史 |
Research Abstract |
最終年度の前年にあたる当該年度では、比較帝国論の個別の論点を深めつつ、全体的な成果のとりまとめに向けての準備作業をした。まず2011年5月15日の日本西洋史学会大会で、小シンポジウム「第一次世界大戦と帝国の遺産」を組織し、ロシア、ハプスブルク、オスマンの各帝国に対する第一次世界大戦のインパクト、民族という単位の政治化、帝国崩壊後の広域秩序の再編・消滅を論じた。7月9日の研究会「オスマン帝国史:比較の視点から」では、19世紀後半のオスマン帝国の縮小、近代化、帝国意識を議論した。2012年1月19~20日には、当班が組織する最大の国際会議として、シンポジウム「近現代帝国の比較:世界秩序変動の中での帝国統治と脱植民地化」を開き、帝国の統治技術、イデオロギー、相互認識・歴史認識、帝国の崩壊とその遺産、脱植民地化に対する諸大国の態度、アメリカの帝国性や中国の再帝国化の可能性などを、15人の報告者を集めて議論した。シンポジウム後には、関連する3つのワークショップ・研究会を東京で開いた。また3月21日の研究会では、「戦時期日本の喇嘛教工作」という新しいテーマを取り上げ、日本の大陸政策における宗教ファクターを、他の諸大国のチベット仏教圏に対する働きかけとの比較を念頭に論じた。これらを通じて、さまざまな時代の国際秩序の中での帝国の位置づけと、帝国間および帝国と統治下の社会の間の相互作用について認識を深めることができた。 本研究の準備段階に開催した国際シシポジウムのペーパーをもとにした論文集Asiatic Russia : Imperial Power in Regional and International Contextsを、イギリスのRoutledge社から刊行した。また、中間成果のとりまとめとして、これまでの研究会等で発表した論文・レジュメを集めた論集『比較帝国論の世界』を刊行した。そのほか、各班員が、European Congress on World and Global Historyなど内外の学会で成果を発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ユーラシア諸帝国とアメリカをほぼ網羅しながら、近現代のさまざまな時代を扱うシンポジウムや研究会を開き、帝国の近代化と崩壊、後継国の国家建設、帝国システムと国民国家システムの関係などについて、ほぼ予定のペースと深度で考察を進め、成果を発表・刊行してきた。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究成果の最終的なとりまとめとして、「ユーラシア比較地域大国論」シリーズ第4巻『ユーラシア近代帝国と現代世界』、および2012年1月に開催した国際シンポジウム「近現代帝国の比較:世界秩序変動の中での帝国統治と脱植民地化」の英文報告集を編集する。また研究成果を国際的に発信し意見交換をするため、海外でワークショップを開くことを計画中。
|
Research Products
(44 results)