2012 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー・構造揺らぎの時間分解検出法開発と反応機構
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
20107003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺嶋 正秀 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00188674)
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Project Period (FY) |
2008-11-13 – 2013-03-31
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Keywords | タンパク質 / 反応 / 揺らぎ / 時間分解 / 拡散 / 熱力学 |
Research Abstract |
体積揺らぎと関係する圧縮率の時間分解測定のために、時間分解体積変化の圧力依存性を用いた、高圧システムを設計・作製し、この装置を用いて青色光センサータンパク質PixDの反応を調べた。TG信号は、体積変化を表す成分と分子拡散を表す成分に分割できることが常圧での実験・解析からわかっている。圧力効果を通して、反応中間体同定などの新規な情報を得ることができた。次に40マイクロ秒程度で体積膨張過程を表す信号の圧力依存性から中間体の体積揺らぎを、基底状態からの差として検出した。これより光励起直後に生成する吸収スペクトルシフトを起こした中間体は大きな揺らぎを持つことが分かった。この結果を、我々は光励起により誘起された大きな揺らぎが、光反応を推進する駆動力になっていると解釈した。更に、この反応と揺らぎとの関係をより明確にするために、反応効率をコントロールできる光強度と圧縮率との関係を明らかとした。このようにして、タンパク質の構造揺らぎが反応過程においてダイナミックに変化する様子が、初めて捉えられるようになった。 熱容量や熱膨張係数の時間分解測定を行うことでも、反応中間体におけるエネルギーや体積揺らぎが増大している証拠を得ることができた。 揺らぎが大きいと考えられるループ領域が、機能に関係した反応に重要と思われる例を、YtvAと呼ばれる青色光センサータンパク質の反応に見出した。反応過程について、過渡回折格子(TG)法を用いて調べ、反応スキームを決めることに成功した。また、揺らぎの大きなループ領域の構造変化が機能に関係した反応に必須であることを示した。 こうした結果は、まさに揺らぎが機能に関係する反応と密接に関係していることを示すものであり、反応途中でエネルギーが不安定になり、構造が緩み、その結果反応が進行していることをうかがわせるものである。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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