2010 Fiscal Year Self-evaluation Report
Towards Noise-Driven Information Processing Systems for Nano-scale Molecular and Semiconductor Devices
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
20111004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
ASAI Tetsuya Hokkaido University, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (00312380)
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Project Period (FY) |
2008 – 2012
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Keywords | 単電子 / 雑音 / 集積回路 / 生体模倣 / 情報処理 |
Research Abstract |
熱雑音やゆらぎの要素は、システム設計において非常に悩ましい存在である。本来高い雑音耐性を有するはずのデジタル演算においても、環境雑音や電源雑音の問題が深刻になっている。雑音やゆらぎの問題は、プロセス技術やシールド技術といったデバイス製造(後)技術の問題とされることが多い。しかし問題はシステムの設計側にもある。実際、ゆらぎの影響を最小限に留めるためのデジタル処理の概念が提唱されて以来、システムの設計側から“デジタル以外の方法で"この問題に取り組み解決できた例はさほど多くない。その結果、ノイマン型アーキテクチャを主体とするデジタル回路が、現在の情報処理システムの中核となっている。 一方、自然が生み出したアナログ情報処理システムの代表である生物の神経系は、雑音を排除するのではなく活用する方向に進化したと考えられている。たとえば、昆虫(コオロギ)は、熱雑音による擾乱を活用することで触角のセンサ感度を超える微弱な信号を検出する。また、大脳皮質によく見られる構造を模した神経ネットワークは、時空間雑音を活用することで低周波雑音を高周波領域へ押し上げる(ΣΔ型アナログ‐デジタル変換におけるノイズシェーピング効果)の性質を持つ。さらに、雑音を加えることで、バーストパルス信号の検出を行う神経ネットワークの出力ダイナミックレンジが大幅に向上することも明らかになった。また、雑音を加えることで、非同期に発火している複数の神経細胞が同期発火するという現象も見つかっている 雑音やゆらぎの吸収・利用は、生物の神経系だけでなく自然界のいたるところで行われていると考えられる。本研究は、自然が雑音やゆらぎを吸収・利用する仕組みに学んだ機能システムのアーキテクチャ構築を目的とする。生物の自己組織化や脳の情報処理方法に学び、ゆらぎを積極的に利用する情報処理方式を確立することが本研究の最終目標である。
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Research Products
(7 results)