2008 Fiscal Year Annual Research Report
心血管ストレス応答におけるミトコンドリア活性酸素シグナル制御
Project Area | Signaling functions of reactive oxygen species |
Project/Area Number |
20117004
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
筒井 裕之 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 教授 (70264017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蒔田 直昌 北海道大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (00312356)
絹川 真太郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (60399871)
松井 裕 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 特任准教授 (30431381)
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Keywords | ミトコンドリア / 酸化ストレス / 活性酸素 / 心血管病 / ストレス応答 |
Research Abstract |
我々は、ミトコンドリア転写因子Mitochondrial transcription factor A (TFAM)が、ミトコンドリアにおけるmitochondrial DNA (mtDNA)の転写、維持、コピー数の増加に関与することを明らかにしてきた。本年度は、TFAMの心筋細胞保護効果が抗酸化作用を介するかどうかin vivoとin vitroで検討した。in vivo研究 : ヒトTFAM遺伝子過剰発現マウス(TG)に心筋梗塞(MI)を作成し、28日後の心筋におけるROS産生をin vivo電子スピン共鳴法(ESR)で測定したところ、TFAM遺伝子過剰発現は梗塞サイズには影響せずに、組織学的心筋肥大と心エコーで評価した左室収縮不全を抑制した。さらに、in vivo ESRで測定した心筋酸化ストレスはWT-MIで増加したが、これはTG-MIで抑制された。さらに、心筋DNA microarrayで、核DNAでコードされたMthfd2やAdh1などの抗酸化酵素が増加したが、ミトコンドリア呼吸酵素は不変であった。in vitro研究 : HeLa細胞を用いて複合体I阻害薬のロテノン存在下のスーパーオキサイド産生をDihydroethidiumで測定すると、TFAM過剰発現によりsuperoxide産生は有意に低下した。 以上よりTFAM過剰発現はROSを抑制することが明らかとなり、TFAMのこのような抗酸化作用が、心筋リモデリング・心不全に対する抑制作用に関与すると結論した。このような研究成果は、TFAMがmtDNAの維持作用ばかりでなく、抗酸化作用を有することを、in vitroとin vivoの双方で明確に証明したという点で、意義が大きいと考えられた。このようなTFAMの抗酸化作用が、mtDNAの維持によりミトコンドリアでのROS産生を抑制したことによるのか、直接的に酸化ストレスを軽減するのかを含め、さらに詳細なメカニズムの解明が必要である。
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Research Products
(22 results)