2009 Fiscal Year Annual Research Report
心血管ストレス応答におけるミトコンドリア活性酸素シグナル制御
Project Area | Signaling functions of reactive oxygen species |
Project/Area Number |
20117004
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
筒井 裕之 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 教授 (70264017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
絹川 真太郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (60399871)
松井 裕 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 特任准教授 (30431381)
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Keywords | ミトコンドリア / 酸化ストレス / 活性酸素 / 心血管病 / ストレス応答 |
Research Abstract |
我々は、ミトコンドリア転写因子Mitochondrial transcription factor A(TFAM)が、ミトコンドリアにおけるmitochondrialDNA(mtDNA)の転写や維持、さらに酸化ストレスの制御に関与することを明らかにしてきた。本年度は、従来からの研究成果をさらに進展させ、心血管系のストレス応答におけるミトコンドリア酸化ストレスの役割について検討した。 マウスを高脂肪食で飼育すると、肥満・高血糖・高インスリン血症を呈し、2型糖尿病が誘発される。このマウスに心筋梗塞を作成すると、通常食で飼育したマウスより死亡率が高く、左室リモデリング(心筋細胞肥大、アポトーシスおよび間質線維化)および収縮不全が増悪した。高脂肪食飼育マウスでは、心筋における活性酸素産生が、さらに増加したが、それには心筋NAD(P)H oxidaseの活性化が関与した。 一方、高脂肪食投与は、心筋のみならず骨格筋においても、NAD(P)H oxidaseの活性化を引き起こし、NAD(P)H oxidase由来の活性酸素は、ミトコンドリア電子伝達系複合体の酵素活性の低下、ミトコンドリア呼吸能の障害とともに運動能力の低下を引き起こした。さらに、同様のミトコンドリア機能障害および運動機能の低下は、磁気共鳴スペクトロスコピーを用いた解析によりメタボリックシンドローム患者の骨格筋においてもみとめられることが確認された。 以上よりミトコンドリア酸化ストレスは、心血管系に対するストレス応答として幅広い病態の形成・進展に関与していると考えられた。ミトコンドリア酸化ストレスの制御の分子基盤の解明とそれに基づく新たな治療法の開発が必要である。
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Research Products
(13 results)