2010 Fiscal Year Annual Research Report
心血管ストレス応答におけるミトコンドリア活性酸素シグナル制御
Project Area | Signaling functions of reactive oxygen species |
Project/Area Number |
20117004
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
筒井 裕之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70264017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
絹川 真太郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (60399871)
松井 裕 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 特任准教授 (30431381)
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Keywords | ミトコンドリア / 酸化ストレス / 活性酸素 / 心血管病 / ストレス応答 |
Research Abstract |
本研究は、心血管ストレス応答におけるミトコンドリア転写因子ファミリータンパクの発現を制御する分子基盤を解明するとともに、心血管病の形成・進展におけるミトコンドリア活性酸素シグナル制御の役割をあきらかにし、ミトコンドリア転写因子の機能制御という新たなパラダイムに基づく心血管病の治療法の開発を目指すものである。 高脂肪食投与は、インスリン抵抗性を惹起するが、同時に心筋のみならず骨格筋において活性酸素スーパーオキサイドの主要な産生源であるNAD(P)H oxidaseの活性化を引き起こし、NAD(P)H oxidase由来スーパーオキサイドが、ミトコンドリア電子伝達系複合体の酵素活性の低下、ミトコンドリア呼吸能の障害とともに運動能力の低下を引き起こすことをあきらかにした。さらに、磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)を用いた骨格筋代謝の解析によりメタボリックシンドローム患者の骨格筋においては、ミトコンドリア機能障害がみとめられ、運動機能の低下と相関することもあきらかにし、さらに心筋梗塞後マウスでも、心筋ばかりでなく骨格筋における酸化ストレスが亢進しており、インスリンシグナル経路のうちAktのリン酸化およびGLUT-4の膜へのtranslocationが傷害されており、インスリン抵抗性が惹起されることを見出した。また、磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)を用いた骨格筋代謝の解析により拡張型心筋症患者の骨格筋において、ミトコンドリア機能障害がみとめられ、運動機能の低下と相関することもあきらかとなった。したがって、心不全とメタボリックシンドロームには、ミトコンドリア機能制御異常という共通の病態基盤が存在することが示唆された。
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Research Products
(13 results)