2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Clarification of the mechanism of face recognition by interdisciplinary research |
Project/Area Number |
20119002
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
山口 真美 Chuo University, 文学部, 教授 (50282257)
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Keywords | 顔認知 / 乳幼児 / 脳活動計測 / NIRS |
Research Abstract |
本研究の目的は、「顔認識」の社会的側面と「社会的注意」(社会的場面で、うまく視線が合わないなどといった問題)の側面をその発達過程から実験的に検討することを目的としている。本年度は「顔認識」に焦点を当て、まず顔処理の特殊性について検討した。イタリアの画家Arcimboldoによって描かれた野菜・果物・花などの要素から顔が知覚される絵画(野菜顔)は、部分的には野菜であり全体として顔が見えるため、全体で処理しない限り、顔として見ることはできない。成人においては野菜顔における顔知覚は正立条件に限られ、倒立すると野菜などの個々の要素のみが知覚されることが知られている。 この特性を利用して、生後5〜8ヶ月の乳児に対して、正立と倒立の野菜顔への注視行動を検討した。その結果、7-8ヶ月児のみ正立の野菜顔に対して注視時間が増加した。さらに、正立と倒立の野菜顔を観察しているときの脳活動を近赤外線分光法(NIRS)を用いて計測したところ、正立顔の場合にのみ左側頭の脳領域が活性化していた。これらの成果は、海外では視知覚研究で最も多くの研究者が集まり権威のあるVision Science Society(VSS)や、国内では、顔研究の著名な研究者で構成されている日本顔学会など、いくつかの学会で発表された。さらに、NIRSによる乳児の顔認知に関しては、生後5ヶ月と8ヶ月の間に発達的な変化が生じることを世界で初めて報告し、この成果は欧米雑誌の中で評価の高いHuman Brain Mapping誌に掲載された。論文掲載に伴い、中央大学市ヶ谷キャンパス内においてプレス会見を行ない、Yahooニュースや朝日新聞・読売新聞・日刊工業新聞など多くの新聞に掲載され、大きな反響をよんだ。 また、こうした成果に基づき、レビュー論文を映像情報メディア学会誌と電子情報通信学会誌に発表した。
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Research Products
(9 results)