2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Understanding and breaking the limit of human minds and performance |
Project/Area Number |
20H05715
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
柴田 和久 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (20505979)
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Project Period (FY) |
2020-10-02 – 2023-03-31
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Keywords | 潜在過程 / 脳 / 学習 / 知覚 / 脳活動計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍が原因で着任が遅れていた研究技術員は2021年度初頭に着任が叶ったものの、外国人研究員の着任は2021年11月下旬まで最終的にずれ込んだ。そのため研究計画に一定の遅れがあったが、2021年度は主として行動実験、脳刺激実験、脳波実験を行った。
行動実験と脳刺激実験では、指運動の学習の限界を超える方法を調べるために指の系列順序運動訓練の前後に異なる訓練を挟んだり、系列順序運動訓練のあとに脳の特定の部位を経頭蓋磁気刺激(TMS)を断続的に刺激する実験を行った。TMSを一次運動野に打った場合と体性感覚野に打った場合で学習結果が異なるという知見が得られつつあり、この実験を予備実験として2022年度には本実験を行う予定である。また、指を動かす単純な反応時間課題を用いて、反応時間の限界を超えるための方法を模索した。ソニー・コンピュータ・サイエンス・ラボラトリーとの共同研究から、皮膚電気刺激により筋肉を人工的に駆動させる方法によって、通常の訓練では達成不可能な反応時間の向上を達成する方法を見つけた。この成果をヒューマン・コンピュータ・インターフェイス分野のトップ国際会議であるCHI 21で発表した。
脳波実験では柔軟な認知的判断を促進する脳の仕組みや判断の締切に迫られた極限状態での意思決定のメカニズムについて調べている。2021年度はデータ計測に費やしたが、2022年度も継続して実験を行う。その他、視覚の学習において、既知のパラダイムでは学習が成立しない状況で学習を起こすことが可能なパラダイムを発見し、国際学会であるVision Sciences Societyで発表した。また、本研究におけるコア技術のひとつであるfMRIニューロフィードバックの本の執筆に関わり、一章分を担当した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により着任が遅れていた外国人研究員は2021年11月にようやく着任できた。それに伴い昨年度同様研究の進みややや遅れている。すでに研究室にいる研究員による手助けなどを得て、実験はある程度進んでおり、2022年度には予定していたテーマにおける実験に着手できる見通しは整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度に行った行動実験、脳刺激実験、脳波実験を引き続き行う。さらに認知的要因を操作しながら通常環境における課題パフォーマンスの限界を超えるための実験パラダイムも試す。また機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いた脳イメージング実験やfMRIニューロフィードバックを用いた脳活動介入実験も実験の進捗に併せて実施する予定である。
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Research Products
(5 results)