2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of fast and accurate functional cluster/hub cell detection method in brain network
Project Area | Morphological features and gene expression patterns underlying hub neurons |
Project/Area Number |
20H05776
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
竹田 晃人 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (70397040)
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Project Period (FY) |
2020-10-02 – 2023-03-31
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Keywords | 神経科学 / 統計物理学 / データ解析 / クラスタリング / ネットワーク推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の初年度は以下の2点を重点的に実施することを計画した。それぞれの進捗状況を記述する。 (1)連続データ解析のための神経クラスタ/ハブ推定モデルの開発 既に開発済の神経クラスタ解析モデルは、2値の神経活動データ(神経細胞の活動/非活動状態を表す2値データ)に対するものだったので、Ca2+イメージングデータのような連続データから直接神経クラスタを推定するためにはモデルの変更が必要だった。そこで、連続データ解析のためのベイズ推定モデルを構築し、それに基づき神経クラスタ推定アルゴリズムを構成した。また、外部刺激が与えられた下でのマウスの大規模神経活動データにアルゴリズムを適用した結果、外部刺激に対応した妥当な神経クラスタ構造が検出された一方で、非自明なクラスタ構造を示唆する結果も得られた。これらの結果については今後も検討を要する。 (2)局所神経クラスタ内の神経ネットワーク構造の推定法の構築 神経細胞の活動から神経ネットワークを推定する問題は、統計物理学の逆イジング問題と密接に関連している。ただしその対応は神経活動データが2値の場合のみ成り立つので、Ca2+イメージングデータのような連続データに対応した神経ネットワーク推定モデルを統計物理学の観点から再構築する必要がある。そこで、統計物理学の球形スピングラス模型の知見をもとに連続データに対応した推定モデルを構築した。ただし、推定モデルにはハイパーパラメータが含まれており、その決定法については今後検討の必要がある。 (1)(2)の結果は日本物理学会年次大会および情報論的機械学習に関する研究会で公表済である。またこれらとは別に、神経クラスタの推定アルゴリズムの高速化に関する論文を執筆し投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で記述した通り、研究期間の初年度は2つの計画に関して重点的に研究を実施した。今年度は研究期間の初年度である事情から半年間しか研究期間がなかった。それにもかかわらず各計画について成果が得られ、かつ成果を学会等で公表することができた。またこれら2つの計画とは別にアルゴリズムの高速化に関する研究も並行して実施し、これに関しては論文も投稿することができた。 以上より、短い研究実施期間にもかかわらず研究成果は得られており、計画はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
最初に、今年度計画した2つの課題に関して、今後の方策を述べる。 研究実績概要の項目(1)の連続データに対する神経クラスタ推定アルゴリズムの開発はほぼ完了したが、推定アルゴリズムの挙動についてはまだ不明な点がある。アルゴリズムの挙動は当然神経クラスタ解析結果にも影響を与えるので、アルゴリズムの挙動を理論的に解析する研究を続けていく予定である。 (2)のネットワーク推定モデルの構築については中途である。今後の方針として、まず構築した推定モデルからネットワーク推定アルゴリズムを構成する。次にアルゴリズムを人工神経データに適用することで、アルゴリズムの信頼性を確認・確立する。その段階でアルゴリズムに問題点があれば推定モデルを構築し直すことも必要になる。 本研究課題ではこれらとは別に、付加情報を取り入れた神経クラスタ/ハブ細胞の推定法等も目的として掲げているので、研究期間の2年目にはそれらの課題についても新たに着手する。 最後に研究推進のための環境整備・人員補充について述べる。まず、研究期間の初年度に大規模神経活動データ解析を高速に解析できるように計算用サーバーを購入したが、OS・ソフトウェア等の内部の環境整備が未了である。そこで2年目には大規模データを実際に解析できるように環境を整備する。加えて、研究期間の2年目から博士研究員を採用するので、博士研究員とともに効率的に研究を進めていく。
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Research Products
(9 results)