2021 Fiscal Year Annual Research Report
翻訳速度制御を介した睡眠・代謝・体内時計のパラメトリック制御
Project Area | Parametric biology based on translation rate regulatory mechanism |
Project/Area Number |
20H05783
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土居 雅夫 京都大学, 薬学研究科, 教授 (20432578)
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Project Period (FY) |
2020-10-02 – 2023-03-31
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Keywords | 体内時計 / 翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
翻訳速度調節機構を基盤としたパラメトリック生物学の創成に向け、本研究計画班では当初の計画に従い、体内時計と翻訳の調節経路に着目した研究を実施し、その成果に基づいて令和3年11月27日開催の第59回日本生物物理学会年会シンポジウム「パラメトリックな翻訳調節機構」(オーガナイザー:岡部弘基、原田慶恵;科研費学術変革B「パラメトリク翻訳」共催)、および、令和3年12月2日開催の第44回日本分子生物学会年会シンポジウム「Parametric Biology Based on Translation Rate Control」(オーガナイザー:土居雅夫、原田慶恵;科研費学術変革B「パラメトリク翻訳」共催)において発表を行った。さらに、体温を介した体内時計のパラメトリック制御の解明に向け、赤外線サーモグラフィーとAI技術を組み合わせた自動解析系を用いることによってマウスの居場所の変化を伴わない体の微細な動きと体温変動を非侵襲的に同時計測することに成功し(Shimatani et al., PLoS One 16, e0252447, 2021)、その成果を、領域ホームページ(http://parametric-translation.pharm.kyoto-u.ac.jp/)・京都新聞(2021/7/6夕刊1面)・朝日新聞(2021/7/30朝刊27面)・日本語総説誌(三宅崇仁, 土居雅夫 体温の日内リズム制御における概日時計機構の役割. BRAIN and NERVE 74, 159-166, 2022)に報告することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従って翻訳速度制御を介した睡眠・代謝・体内時計のパラメトリック制御機構の解明に向けた調査スクリーニングを行った結果、研究が順調に進み、良好な研究成果をあげることができた。すなわち、Ribo-Seq法に代わる簡便翻訳速度定量法の開発に向け、CRISPR-dCas13の酵素特性を活かした標的mRNA精製を実施するにあたり、R3年度はTEVプロテアーゼを利用した酵素抽出法を導入することによって精製度をさらに向上させることに成功できた。またさらに、これに並行し進めてきた体内時計遺伝子の翻訳制御についての研究において大きな進展が得られた。我々は生体内の生理的条件下で見られる数℃の体温変動が時計遺伝子のタンパク質発現量に影響を与えることを見出し、それをリファレンスとした阻害薬ライブラリー検査によりその上流の制御系因子を見つけることに成功している。最新のAI技術を用いたビデオサーモグラフィー法の開発によって、体温を介した体内時計のパラメトリック制御の解明へ向けた新たなツールも樹立することができた(Shimatani et al., PLoS One 16, e0252447, 2021; 京都新聞2021/7/6夕刊1面; 朝日新聞2021/7/30朝刊27面)。このように、当初の計画どおりの研究を推進することができており、翻訳速度制御を介した睡眠・代謝・体内時計のパラメトリック制御機構の解明に向けて今後の研究展開の鍵を握る重要な成果を得ることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの研究調査によって大変良好な成果が得られつつある時計遺伝子の翻訳制御についての研究を最終的な成果とりまとめに向け重点的に進めたいと考えている。我々は生体内で見られる数℃の漸次的体温変動が体内時計遺伝子の蛋白質の合成を変化させることを明らかにし、それをリファレンスとした阻害薬ライブラリーによるスクリーニングを行いその上流の制御因子を見つけることに成功した。重要なことに、岩崎ら(計画班2)のもつ次世代シークエンサー技術を用いたRibo-Seq法の結果においても同様の結果を実証することができている。そこで今後はさらに岩崎を含む領域内の連携を進めることによって、研究成果の最終化を推し進めたいと考えている。特に、当領域のテクノロジーハブ技術を利用し、Ribo-Seq法(計画班2岩崎)、mRNA イメージング法(計画班3原田・岡部)、培養神経コネクトイド法(計画班4池内)を用いたアプローチによって翻訳制御の分子機構の解明を進める計画である。
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Research Products
(21 results)
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[Journal Article] Intracrine activity involving NAD-dependent circadian steroidogenic activity governs age-associated meibomian gland dysfunction.2022
Author(s)
Sasaki L, Hamada Y, Daisuke Yarimizu D, Suzuki T, Nakamura H, Shimada A, Nguyen Pham KT, Shao X, Yamamura K, Inatomi T, Morinaga H, Nishimura EK, Kudo F, Manabe I, Haraguchi S, Sugiura Y, Suematsu M, Kinoshita S, Machida M, Nakajima T, Hiroshi Kiyonari H, Okamura H, Yamaguchi Y, Miyake T, Doi M
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Journal Title
Nature Aging
Volume: 2
Pages: 105-114
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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