2023 Fiscal Year Annual Research Report
Applied radiocarbon dating to pottery type chronology and cultivated plants
Project Area | Excavating earthenware: Technology development-type research for construction of 22nd century archeological study and social implementation |
Project/Area Number |
20H05814
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
小林 謙一 中央大学, 文学部, 教授 (80303296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 昌児 愛媛大学, 埋蔵文化財調査室, 教授 (10735286)
根岸 洋 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (20726640)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Keywords | 縄文時代 / 弥生時代 / 年代測定 / 炭素14年代 / 考古学 |
Outline of Annual Research Achievements |
領域研究の時間的基軸となる縄文時代の高精度年代体系を完成させるため、年代測定研究を継続的におこなっている。2023年度は日本各地の縄紋後期・晩期~弥生前期の実年代を土器型式毎に整理することを目標とし、西日縄文晩期~弥生土器、東北の縄文後期~弥生前期の土器付着物を多数採取・測定した。 小林は、青森県内の縄文草創期・早期土器付着物を報告(青森県埋文センター研究紀要:相原淳一氏共著)、北海道道南地域・帯広市周辺の縄文草創期・早期土器(相原共同)、鹿児島県前田遺跡、徳之島の年代研究(立神共同)、宮城県大崎市内縄紋晩期~弥生前期(東北歴博研究紀要:小野共著)、北海道木古内町内の縄文早期から晩期(北海道考古学投稿中:富永共著)、山梨県諏訪原遺跡、静岡県富士宮市、東京都府中市の年代測定を進めた。 柴田は、香川県では突帯文土器編年の基準資料を精査し、林・坊城遺跡9点、龍川四条遺跡4点、前田東・中村遺跡1点計14点の土器付着炭化物の年代測定・炭素・窒素安定同位体比分析を行い、環瀬戸内海地域での農耕開始期を探るべく縄文弥生移行期を中心に年代測定を蓄積したく。 根岸は、秋田県成沢2遺跡で検出された木柱を伴うピット群について、年代測定成果を含む発掘調査報告書の刊行予定、宮城県仙台市富沢遺跡、同栗原市山王囲遺跡出土の、縄文/弥生移行期の木製品(形態と年代測定)、群馬県渋川市万木沢B遺跡出土土器群の年代と栽培植物圧痕(佐々木由香と共同)、北海道における弥生化と続縄文文化の関係性についての資料調査、縄文/弥生移行期の広域編年において重要な北関東・中部高地で資料調査を行なっており、遠賀川系土器の年代比定に関して土器編年と年代測定の両面から検討を進めた。 以上のように、縄文草創期から早期の縄文の始まりの段階と、縄文晩期・弥生前期の縄文弥生移行期を中心に、九州から北海道まで、列島各地の年代測定を蓄積している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順当に各地域の年代測定を進めており、その成果も論文等で順次発表している。特に、瀬戸内海地域、関東、東北の縄紋晩期~弥生移行期については、高精度の年代手蓄積を進め、細別時期毎の年代比定や、ウイグルマッチングを含めた確実性の高い年代の定点を定めることに成功しつつある。東北地方晩期の大洞終末期から弥生前期の年代的推移については、これまでにない数の測定例の蓄積がおこなわれ、重要な成果となりつつある。また、晩期・弥生移行期の年代を固めるためにも縄文後期以前の年代も蓄積しているほか、西日本では弥生通期までの連続的な年代を蓄積している。 一方で、これらの成果は編年的位置の明確な土器付着物を中心としており、研究目的の一つである植物遺体や土器包埋有機物の年代測定に成功した例は少ない。資料的制約によるものであるが、さらにそれらに対する成果を挙げるため、現在、資料収集を進めつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の研究として、下記の点を中心に進める。 1.現在続けている縄紋時代の高精度年代体系の構築を完成させる。特に植物利用の展開が見られる縄紋中期および縄文晩期~弥生移行期の九州・中四国・中部関東北陸・東北北海道の横断的な年代体系化を中心に進める。 2.植物遺体自体の年代測定を進め、土器片炎上の実年代体系と比較して植物利用の年代的推移を整理しえるようにする。 3.土器包含炭化物や共伴炭化材のウイグルマッチングなど、様々な年代測定方法を実施し、酸素同位体比、ルミネセンス、年輪年代、貝殻成長線など他の年代測定法を相互に比較検討する。 以上を通して、縄紋・弥生時代の高精度実年代体系の決定版を完成させ、公開する。これらの成果を公開研究会などで一般に向けて広く公開する。
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Research Products
(9 results)