2023 Fiscal Year Annual Research Report
高密度共役キラル分子集積体における高効率電流-スピン流変換
Project Area | Condensed Conjugation Molecular Physics and Chemistry: Revisiting "Electronic Conjugation" Leading to Innovative Physical Properties of Molecular Materials |
Project/Area Number |
20H05870
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
須田 理行 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80585159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 久暁 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (50362273)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Keywords | キラリティ / CISS効果 / 遷移金属ダイカルコゲナイド / ファンデルワールス超格子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「空間反転対称性の破れによるスピン選択性(CISS効果)」という新たな原理に基づき、有機分子による電流/スピン流変換システムを創出することを目的としている。 本年度は、二次元層状物質へのキラル分子インターカレーションによるキラル伝導体の創製という新たな着想の元、キラリティと高い伝導性を併せ持つキラルファンデルワールス超格子を創製し、スピン偏極率約95%のほぼ完全なスピン選択性を実現した。 更に、本材料によって生成される高スピン偏極電流を電気化学分野へと応用するスピン依存電気化学の実証に取り組んだ。実際に、スピン偏極電流中においてスピンが平行に揃っていることを利用し、スピン多重度選択的電気化学反応の実現に取り組んだ。具体的には、スピン三重項酸素とスピン一重項過酸化水素の生成が競合する水電解における酸素発生反応において、スピン三重項酸素を優先的に生成し、水電解効率を向上させることに成功した。更に、スピン偏極電流がキラリティを持つことを利用したスピン偏極電流によるエナンチオ選択的電気化学反応の創出にも取り組み、実際にスピン偏極率に依存したエナンチオ選択的電気化学反応を実現した。 また、キラリティを導入した共有結合性有機構造体(COF)の創製にも取り組んだ。リンカー分子のねじれ角度を制御したいくつかのCOFを合成し、そのスピン選択性を評価した結果、リンカー分子のねじれ角とスピン選択性の間に生の相関があることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、二次元層状物質へのキラル分子インターカレーションによるキラル伝導体の創製という新たな着想の元、キラリティと高い伝導性を併せ持つキラルファンデルワールス超格子を創製し、スピン偏極率約95%のほぼ完全なスピン選択性を実現するなど、当初の目的であった、電流/スピン流変換効率の向上という目的をほぼ達成した。 更に、キラリティを導入した共有結合性有機構造体(COF)の創製にも取り組み、リンカー分子のねじれ角とスピン選択性の間に生の相関があることを見出すなど、新たなスピン偏極材料の設計指針を見出すことができ、おおむね順調に研究計画を遂行することができたと考えらえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に達成した二次元層状物質へのキラル分子インターカレーションや共有結合性有機構造体へのキラリティ導入について、各種パラメータの最適化を行い、100%のスピン偏極率を目指す。
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Research Products
(15 results)