2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Creation and Organization of Innovative Algorithmic Foundations for Leading Social Innovations |
Project/Area Number |
20H05963
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Research Institution | NTT Communication Science Laboratories |
Principal Investigator |
安田 宜仁 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 協創情報研究部, 主幹研究員 (50396149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有村 博紀 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (20222763)
鍋島 英知 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (10334848)
井上 武 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 協創情報研究部, 主任研究員 (70873678)
西野 正彬 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 協創情報研究部, 特別研究員 (90794529)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Keywords | 革新的アルゴリズム基盤 / 厳密被覆 / 非同期ストリーム索引 / 説明可能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は採択後からの4か月の期間を、今後の研究活動の準備期間と捉え、 遠隔での交流のための環境整備や、実装を意識した場合に注力するべき項目の洗い出しを中心に行った。特に後者については、二分決定図を活用した既存ライブラリである graphillion の課題についての検討を進めた。 個別の研究としては、厳密被覆の全解列挙、非同期ストリーム索引、離散最適化を用いた説明可能性機械学習において進展があった。 厳密被覆(集合とそのいくつかの部分集合が与えられた場合に、和集合が重複なく入力集合を構成するような組合せを見つける問題)の全解列挙に関して、入力の部分集合の数が大きい場合でも効率的に動作するような方法を考案した。ゼロサプレス型二分決定図(ZDD)に類似する「DanceDD」というデータ構造を考案し、これを実現した。 高速非同期ストリーム索引について、高木と、稲永、有村、Breslauer、Hendrianらは、一本の成長する系列の索引である接尾辞木のオンライン線形時間構築法を、非同期に成長する複数本の系列の索引である「全オンライン接尾辞木」に自然に拡張することに世界で初めて成功し、その線形時間アルゴリズムを与えた(学術論文1). 離散最適化を用いた説明可能性機械学習について、金森と有村等は、説明可能機械学習問題において、因果構造を反映した反実仮想説明の整数計画法を用いた生成手法を開発し、人工知能分野のトップ会議AAAI2021に採択され、2022年1月に発表を行った(国際会議発表1)。この成果は、日本経済新聞や各種ウェブメディア等で報道されるなど社会的関心を集めた (報道他1).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は採択後からの期間が4か月と限られていたこともあり、研究体制の整備に特に力点を置いて進めた。特に、ビデオカンファレンスを円滑に行うための音響環境については試行錯誤を行い安定した環境を構築することができた。 厳密被覆問題において、従来法では入力に比例した係数が計算量として必要であったが、提案法では入力を圧縮し、圧縮した状態のまま計算を行うことが可能なため、入力に比例していた係数を圧縮したデータ構造の大きさに比例する係数であるような計算量に改善することができた。この結果、実際の問題を解いた場合においても、多くの場合必要な計算時間を大きく削減することが可能となった。 学術論文、国際会議等の成果についても次第に準備が整ってきている。 領域内メンバーとの交流は新型感染症の状況に応じて、対面と遠隔を組合わせて実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の大方針としては、実世界での問題を想定した研究を進めると同時に、その際の解法をどう一般化された実装にできるかについての検討を進める。個別の問題として、具体的には数独パズルやある種の配送計画問題などを想定した上での厳密被覆問題の解法と実装が挙げられる。厳密被覆はこれらの問題を解く道具として用いることが従来より知られている一方、現状、個別の問題について、被覆されるべき対象と被覆する要素をどう表現するかについては研究者の知識や経験を必要とする部分がある。この問題について解法をなるべく意識せずにどのように実装するべきかを検討する。また、別の個別の問題としては、たとえば線形最適化などの簡単な最適化問題において、多数のグラフ部分構造由来の制約を含む場合について、解法自体は変えずにいかに入力を直感的かつ汎用的に圧縮した形で与えることができるかについて検討を進める。 引き続き、班内議論だけでなく、班を超えた交流を強化する。本班としては、他班での研究成果を社会に還元できるように実装することは目標の一つだからである。当面はオンラインでの議論を中心とするが、新型感染症の状況が改善した場合には、京都寺町三条サテライトラボや既存の東京神田サテライトラボでの対面での交流の充実を図る。
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Remarks |
日本経済新聞(地方版)「望む結果を得るための手順を導くことができるAIを開発」,2021/2/4
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Research Products
(5 results)