2011 Fiscal Year Annual Research Report
新奇π電子系オリゴマー類の合成法の開発とそれらの機能に関する研究
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
21106015
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新名主 輝男 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (90037292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武村 裕之 日本女子大学, 理学部, 教授 (60183456)
五島 健太 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (30380538)
芝原 雅彦 大分大学, 教育福祉学部, 准教授 (60253762)
出田 圭子 九州大学, 先導物質化学研究所, 技術職員 (90380542)
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Keywords | 反応集積化 / マイクロリアクター / フロー反応 / ナノチューブ / π電子系 / 分子認識 / 超分子化学 / マクロサイクル |
Research Abstract |
○π電子不足の空孔を持つピロメリット酸ジイミド基盤[3+3]マクロサイクルは、N,N-ジメチルアニリンによりゲル化して多孔質ナノファイバーを形成する事を昨年度報告した。この多孔質ナノファイバーを構成しているピロメリット酸ジイミドはπ電子受容体であり、段階的に還元されてラジカルアニオン、ジアニオン種へ変換すると予想される。実際に、多孔質ナノファイバーにヒドラジン蒸気を曝すとナノファイバーのラジカルアニオン種が生成する事がESRスペクトルにより確認された。また、金電極間に自己集積により形成したナノファイバーにヒドラジン蒸気を曝した後、電極間に電圧をかけると電圧に比例して電流が流れる事が分かり、自己集積型多孔質ナノファイバーのラジカルアニオン種が電気伝導体となる事が確認された。この多孔質ナノファイバーの更なる機能開発を行っている。 ○ピロメリット酸ジイミド基盤マクロサイクルの合成法として、ピロメリット酸無水物と2,5-ジアルコキシ-1,4-ビス(アミノメチル)ベンゼンとの二段階脱水縮合反応を、マイクロフロー合成法によるアミック酸合成、引き続いてのバッチ法によるアミック酸脱水縮合反応を用いて行った所、従来のバッチ法による合成法よりもはるかに高い収率、環サイズ選択性でマクロサイクルが得られる事が分かった。特に、アミック酸脱水縮合反応の際に、DABCO等の第3級アミンを共存させると、マクロサイクルの収率と環サイズ選択性が大きく向上する事が明らかになった。 ○ジメチルアミノエチル基等の電子供与性側鎖を有する芳香族ジイミド類では、光照射によるアミンからジイミドへの分子内光電子移動反応が起こり、着色した電荷分離状態になる。この電荷分離状態は、暗室では中性のジイミドに戻り、元の色に戻る。このように、分子内光電子移動反応に基づくフォトクロミズム現象を見出し、フォトクロミズム現象と結晶構造との相関関係を精査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な条件検討の結果、ピロメリット酸ジイミド基盤マクロサイクルの合成法として、ピロメリット酸無水物と2,5-ジアルコキシ-1,4-ビス(アミノメチル)ベンゼンとの二段階脱水縮合反応を、マイクロフロー合成法によるアミック酸合成、引き続いてのバッチ法によるアミック酸脱水縮合反応を用いる事により、従来のバッチ法による合成法よりもはるかに高い収率、環サイズ選択性でマクロサイクルが得られる事が分かった。特に、アミック酸脱水縮合反応の際に、DABCO等の第3級アミンを共存させると、マクロサイクルの収率と環サイズ選択性が大きく向上する事分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
ピロメリット酸ジイミド基盤マクロサイクルの合成法として、ピロメリット酸無水物と2,5-ジアルコキシ-1,4-ビス(アミノメチル)ベンゼンとの二段階脱水縮合反応を、マイクロフロー合成法によるアミック酸合成、引き続いてのバッチ法によるアミック酸脱水縮合反応により達成した。更に、アミック酸脱水縮合反応を速やかに進行させて、フロー反応のみで反応を進行させるために、ピロメリット酸無水物の代わりにピロメリット酸チオ無水物を用いたり、イソシアナートを用いたりして、一段階のフロー反応によるマクロサイクルの合成法を試みている。 また、ピロメリット酸ジイミド基盤マクロサイクル類の臭素置換体の合成にも成功しており、現在、薗頭反応によるエチニル基の導入法を検討している。今後、エチニル置換マクロサイクル類の連結反応によるチューブ状化合物の合成を行う予定である。
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