2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物ホルモンを介した炭素・窒素栄養バランス情報の伝達システムの解明
Project Area | Comprehensive studies of plant responses to high CO2 world by an innovative consortium of ecologists and molecular biologists |
Project/Area Number |
21114005
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
榊原 均 The Institute of Physical and Chemical Research, 生産機能研究グループ, グループデイレクター (20242852)
|
Keywords | 光合成 / 二酸化炭素 / 植物ホルモン / 窒素栄養 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
イネにおけるC/N栄養バランス比による植物ホルモン代謝調節の制御 サイトカイニン生合成の律速段階反応を触媒する酵素IPT遺伝子群(OsIPT1-OsIPT8)の発現様式について詳細に解析したところ、OsIPT4, OsIPT5, OsIPT7, OsIPT8の4種が培地中の窒素源に応答して誘導されること、その誘導には見かけ上硝酸イオンよりもむしろアンモニウムイオンの効果が高いことが明らかになった。グルタミン合成酵素の阻害剤であるMSXを用いた解析からこの誘導シグナルはグルタミンもしくはその下流代謝産物であるというデータを得た。これらのIPT遺伝子の発現部位をpromoter : GUSの系を用いて解析したところ、いずれも維管束組織で発現が確認され、特に篩部組織で強く発現していた。興味深いことにOsIPT4はスクロース存在下で窒素応答性が増大していた。OsIPT4が篩部組織で発現すること、グルタミンやスクロース等篩管を輸送される同化代謝産物により発現が増大することから、OsIPT4はイネのC/N栄養バランスに応答したサイトカイニン生合成の調節に関わる遺伝子であると考えられる。より生理的な条件での検討を行うために、高CO_2条件下(約800ppm)で生育させたイネ幼苗におけるOsIPT4の窒素応答性を調べたところ、高CO_2条件下でOsIPT4の窒素応答が上昇するという予備的な実験結果を得た。 高CO_2条件、高C/N条件でのオミクス解析 本年度は高CO_2条件による植物育成のための人工気象器の設置とその生育条件設定の検討を行った。データ取得のための植物育成を開始するところまで達成できたことから、次年度から本格的なオミクス解析を行なう予定である。
|
Research Products
(7 results)