2010 Fiscal Year Annual Research Report
準安定な分子認識解明のためのテザー係留法の開発と細胞内仕分けシグナル識別への応用
Project Area | Integrative understanding of biological processes mediated by transient macromolecular complexes; New technology for visualizing physiologically metastable states. |
Project/Area Number |
21121003
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神田 大輔 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80186618)
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Keywords | タンパク質 / 分子認識 / 細胞内輸送 / プレ配列 / ミトコンドリア / Tom20 / 複合体安定化技術 / ジスルフィド結合 |
Research Abstract |
ミトコンドリアを構成するタンパク質の大部分は細胞質においてプレ配列がN末端に付加された前駆体タンパク質として合成される。ミトコンドリア外膜に存在するTom20がプレ配列を最初に認識する。過去の研究で、Tom20が持つプレ配列に対する広い選択性の構造基盤を明らかにするために、リンカーを介した分子間SS結合を利用してTom20とプレ配列ペプチドの複合体を安定化した。この結果から、Tom20は複数の結合状態を用いてプレ配列を動的に認識していることを提唱した。本年度は,異なる安定化技術を用いて,より自然な複合体のデザインを行った.まず,プレ配列に導入した分子内SS結合を利用して複合体を安定化した。その結果、異なる結晶条件下で新たに2つの新規複合体構造を得た。一方はこれまでの複合体構造と同一の相互作用様式であり、固定化方法の違いによるバイアスが無視できることを示唆する。もう一方の複合体構造は新規の相互作用様式であり、動的平衡状態が少なくとも3種類存在することを意味する。2番目の方法として,Tom20とプレ配列をスペーサーなしに直接分子間SS結合でつないだデザインを試した。動的状態の不動点となる疎水性アミノ酸の位置に含硫非天然アミノ酸を導入し,Tom20V109C変異体と分子間SS結合を形成させた。昨年度はホモシステインを用いたが,側鎖が短いことがわかったので,さらにメチレン基が1個分および2個分長い含硫非天然アミノ酸AMP,およびAMHを導入したプレ配列ペプチドを合成した.その結果AMPを導入した複合体において単結晶が得られ、高分解能でのX線結晶構造解析が進行中である.最後に複合体の予備的な水溶液中のMD計算を行い,複合体状態は500nsにわたってリンカー無しに安定であること,相互に変換する場合があることなどがわかった.
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Research Products
(5 results)