2022 Fiscal Year Annual Research Report
自動最適化機能を有するフロー実験システムの迅速構築技術
Project Area | Digitalization-driven Transformative Organic Synthesis (Digi-TOS) |
Project/Area Number |
21H05216
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
外輪 健一郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (00336009)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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Keywords | IoT / 鈴木・宮浦カップリング / フロー合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までにIoT化した実験機器をネットワークを介して制御する方式の自動実験システムの構築を目指し、システムのプロトタイプを完成させた。本年度はより一般的な実験を実施できるよう、システムのインターフェースやデータベースの改善に取り組んだ。さらに本年度は新たに電動バルブやフラクションコレクターなどの機器をIoT化し、本システムの要素として活用可能とした。 本システムの有効性を確認するため、鈴木・宮浦カップリング反応を実施した。触媒として均一触媒と固定化触媒の2通りを用いた。流量や温度を変化させるだけでなく、均一触媒を用いた場合には滞留時間も変化させて合成実験を行った。生成物の分析にはガスクロマトグラフを用いた。開発したシステムを用いることで、反応条件を変えながら実験とサンプリングを繰り返せることを確認した。得られた結果は鈴木カップリング反応の特性として一般に知られている傾向と一致しており、信頼性のある実験を実施できることが示された。使用する触媒によって装置の種類や数が異なるため、本年度の検討では2通りの構成の自動実験システムが必要であった。IoT化された実験機器を本システムに接続することでそれぞれの自動実験システムを迅速に構築することができた。不均一触媒を用いた場合では、自動実験システムの構築を開始してから実験を開始するまでに要した時間は2時間程度であった。これより本システムは柔軟性が高く、研究途中で実験装置の構成を変更する場合であっても短時間で対応できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データベースの再設計が必要になったため、計画の進行に遅れが見られた。しかし、当初の計画通り、開発したシステムを用いて実際に有機合成反応を実施し、システムの特性を票することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
実験機器のIoT化とそれらを制御することによる自動実験システムの開発を続ける。特に自動最適化を可能とするため、分析機器を本システムで活用できるようにIoT化する。またインターフェースやデータベースも見直しを続け、実験手順の繰り返しを効率よく表現できるように努める。 さらに、本システムを用いた有機合成反応の実施例を増やす。領域内外の研究者と連携し、取り上げる反応を決定する。実施する反応の例を増やすことで、IoT化するべき実験機器を明らかにしつつ、実際にIoT化を進める。
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