2021 Fiscal Year Annual Research Report
Mitochondrial supersulfides for energy production and hypoxia adaptation
Project Area | Life Science Innovation Driven by Supersulfide Biology |
Project/Area Number |
21H05264
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
本橋 ほづみ 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (00282351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 健 弘前大学, 医学研究科, 教授 (10323289)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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Keywords | 硫黄代謝 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ミトコンドリアの電子伝達系における超硫黄分子の役割を解明し、酸素利用の効率化における超硫黄の必要性と、低酸素環境でのエネルギー代謝における超硫黄の貢献を明らかにすることを目的としている。 1)転写因子NRF2による硫黄代謝を介したミトコンドリア機能活性化機構:転写因子NRF2は、シスチントランスポーターxCTを活性化することにより、細胞のシスチン利用を促進する。ミトコンドリアにおける超硫黄産生とそれに続く硫黄代謝が、電子伝達系と共役して酸素呼吸の効率化に貢献していることから、NRF2は細胞への硫黄補給の促進を介してミトコンドリアにおけるエネルギー代謝を促進することが明らかになった。 2)誘導的CARS2変異がもたらす造血組織への影響:超硫黄産生活性を喪失したCARS2 AINK変異体をノックインしたマウスを利用して、誘導的にCARS2 AINKのみを発現するマウスを作成したところ、重度の貧血と造血幹細胞の枯渇がおこることがわかった。造血細胞のミトコンドリアでは、膜電位の低下と活性酸素種の増加、さらに二価鉄の顕著な増加がみとめられ、鉄利用の障害がおこっている可能性が示唆された。 3)慢性低酸素がもたらす代謝変化:慢性的な低酸素状態において、炎症応答が増幅することを見出した。詳細な解析から、ピリドキサールリン酸が激減していることがわかった。ピリドキサールリン酸は、超硫黄分子産生に必須の補酵素であることから、炎症の増悪には、超硫黄分子の低下が関与する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ミトコンドリアにおける超硫黄分子の産生抑制により、造血幹細胞分画で、造血幹細胞の分化促進と骨髄球系への分化の偏りが生じるという結果を得た。そこで、single cell-RNA-seq解析と、single cell-ATAC-seq解析を実施したところ、ある特定の転写因子群の機能に変化がおこっている様子が観察され、ミトコンドリアから核内へのシグナル伝達の実態が明らかになってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
誘導的CARS2変異がもたらす造血組織への影響については、細胞分化への影響が認められることから、造血幹細胞分画における遺伝子発現に、ミトコンドリア硫黄代謝がどのようなシグナルを送っているのかという視点から解析をすすめる。また、慢性低酸素におけるピリドキサールリン酸の減少が、超硫黄産生やミトコンドリアエネルギー代謝にどのような影響を及ぼしているのかについて、さらに詳細な解析をすすめる。さらに、ミトコンドリアでエネルギー代謝を担当する多くのタンパク質は細胞質で翻訳されてミトコンドリアに運ばれることから、細胞質タンパク質であるCARS1によるタンパク質の超硫黄化はミトコンドリアタンパク質の機能制御に関わる可能性がある。そこで、CARS1のシステイニルtRNAの合成を維持しつつ超硫黄分子産生活性を欠失したCARS1AIIR変異体を野生型CARS1の代わりに発現する遺伝子改変マウスを作製して、ミトコンドリア機能を検討する。
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Research Products
(33 results)