2021 Fiscal Year Annual Research Report
音響サイバー空間を利用したコウモリの階層ナビゲーションの理解
Project Area | Hierarchical Bio-Navigation Integrating Cyber-Physical Space |
Project/Area Number |
21H05295
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
飛龍 志津子 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (70449510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 慧明 同志社大学, 研究開発推進機構, 准教授 (00722266) [Withdrawn]
小林 耕太 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (40512736)
福井 大 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 講師 (60706670)
小川 宏人 北海道大学, 理学研究院, 教授 (70301463)
梶原 将大 北海道大学, 人獣共通感染症国際共同研究所, 准教授 (70711894)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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Keywords | 生物ソナー / ナビゲーション / バイオロギング / 音響シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
コウモリの飛行軌跡を自動で計測するため,モーションキャプチャーシステムを飛行室内に導入し,計測環境の高度化が実現できた.予備計測として,飼育下のコウモリを用いた障害物回避飛行や複数個体同時飛行などを実施し,導入したモーションキャプチャ―システムの計測精度や計測環境のチューニングを完了することができた.また音響計測と同期させて試験的にいくつかのナビゲーションデータも取得し,データ科学班への共有等が可能となった.また飛行中のコウモリがエコーロケーションによって取得するエコーの実測が技術的に困難であることから,音響シミュレーションを用いた手法の開発を行った.2次元空間において計算により超音波帯域のエコーを算出するための計算機環境の構築がほぼ完了した.実際に飛行した際のコウモリの行動データ(音響と位置情報)と組み合わせることで,2次元空間におけるエコーをシミュレーションによって算出する手法を試みた結果,コウモリに搭載したテレメトリマイクロホンで観測されたエコーの実測値ととても良い一致を示したことから,シミュレーションが有効であることが確認できた.コロナの影響で延期となっていたが,3月に分担者梶原と共にザンビアにて初めてとなるバイオロギング調査をオオコウモリに対して実施することができた.装着したコウモリから,夜間の移動GPSデータの取得に成功し,今後その移動の範囲やねぐらの発見,またウィルス調査研究と移動データとの関連を見ていく予定でである.国内においてのバイオロギング調査も北海道,福井県で実施し,いくつかのデータ回収に成功した.コウモリをはじめとする捕食者の接近を示す感覚刺激を被食者動物(コオロギ)に定量的に与えるため,非拘束のまま小型動物を同じ位置で特定の方位に向けて維持できる無限平面装置と,視覚・聴覚・機械感覚刺激を与えることのできる多感覚刺激装置を製作した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モーションキャプチャ―システムを導入できたことから,小型のコウモリの飛行を自動で追跡できるシステムが完成した.障害物環境や複数個体飛行が上手くトラッキングできることも確認できたことから,実験の効率化が大幅に改善され,これまでデータの蓄積が難しかった飛行軌跡が短時間に大量に取得できる環境が整った.今後は蓄積した飛行経路データを用いて強化学習などによるデータ分析が可能になると考えている.またコロナ渦の中,懸念していた野外での調査をほぼ予定通り実施することができた.またテレメトリマイクに代わる新しいデバイスとして,小型の音響ロガーの開発にも着手できた.飛行経路や音響計測に関する高度化が初年度に予定通り実現できたことは,今後の実験の効率化につながると期待している.また最も懸念していたザンビアでの調査が実現できたこと,さらにザンビアでのバイオロギングデータの回収に成功したことも良かった点として挙げられる.
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Strategy for Future Research Activity |
●飛行室内に導入したモーションキャプチャシステムを用いて,今後は様々な障害物環境におけるコウモリのナビゲーションデータの蓄積を進め,データ科学班と共同しながら強化学習を用いた飛行経路の予測モデルの構築を試みる予定である.●小型音響ロガーの試作が完成したのちは,複数個体で飛行する際のナビゲーションデータの計測を進めていく.混信回避行動としての周波数調整行動のみならず,お互いに衝突しない飛行軌跡をどのような機序で決定しているのか,その際の音響センシングとの協働の関係を調べていきたい.●また国内でのヤマコウモリを対象とした音響GPSロガーを用いたバイオロギング調査に関しては,エコーロケーション音声の分析と合わせて論文化を目指す.またザンビアでの2回目のバイオロギング調査も行う予定である.
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[Journal Article] Learning interaction rules from multi-animal trajectories via augmented behavioral models2022
Author(s)
Fujii, K, Takeishi, N, Tsutsui, K, Fujioka, E, Nishiumi, N, Tanaka, R, Fukushiro, M, Ide, K, Kohno, H, Yoda, K, Takahashi, S, Hiryu, S, Kawahara, Y
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Journal Title
Advances in Neural Information Processing Systems (NeurIPS'21)
Volume: 1
Pages: 11108~11122
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Filovirus in Egyptian fruit bats in Zambia2021
Author(s)
Kajihara, M., Changula, K., Hang’ombe, B., Qiu, Y., Mori-Kajihara, A., Eto, Y., Harima, H., Sawa, H., Simulundu, E., Mwizabi, D., Squarre, D., Fujioka, E., Hiryu, S., Takada, A.
Organizer
日本哺乳類学会2021年度大会
Invited