2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Topological Quantum Phenomena in Condensed Matter with Broken Symmetries |
Project/Area Number |
22103002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前野 悦輝 京都大学, 理学研究科, 教授 (80181600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏谷 聡 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 主任研究員 (40356770)
赤崎 達志 日本電信電話株式会社・NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 主幹研究員 (10393779)
浅野 泰寛 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (20271637)
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Keywords | トポロジー / 超伝導材料・素子 / 低温物性 / スピン三重項超伝導 / 奇周波数超伝導 |
Research Abstract |
(1)Sr_2RuO_4(以下、SROと略す)のバルク超伝導の未解決現象解明(前野、石田、米澤;三宅(B01班):ベクトル秩序変数の確定に向け、磁気熱量効果からRuO2面に平行の磁場での超伝導一次転移を確証した。超伝導-軸圧力効果や中性子回折による磁束格子の研究も進めた。これらに必要な試料分析に、導入したエックス線回折システムを活用した。 (2)SROの微小結晶を用いた新現象探索(柏谷、前野、米澤):金との接合実験からカイラル・エッジ状態の形成を明らかにした。またRuO_2面方向のへき開面への極低バリアのNIS接合素子やジョセフソン接合素子の作製に成功した。半整数フラクソイドの検証に向けて、微結晶リングの超伝導転移温度の磁場中振動を観測する実験を開始した。 (3)SRO-Ru共晶の接合系での新現象研究(前野、寺嶋、柏谷、浅野):カイラルρ波のトポロジカルな特徴が顕在化する量子干渉効果観測を「トポロジカル超伝導接合」として論文発表した。またρ波超伝導証明となるπ接合超伝導量子干渉素子の動作を実証する実験も進めた。SROと金属の接合で予想される奇周波数状態は、クーパー対の密度が見かけ負になることから実験検証可能という理論提案も行った。 (4)強磁性半導体とS波超伝導体の接合の研究(赤崎、柏谷、浅野):強磁性体への奇周波数スピン三重項対誘起の研究を理論・実験両面から進めた。導入した3軸ベクトル磁石で印加磁場の方向を精密に制御した接合特性が奇周波数状態の理論計算と定性的に一致することを明らかにした。 (5)計画研究B01との集中連携研究会を大阪で開催し、超流動体と共通するトポロジカル量子現象の未解明問題について認識を深めた。またD01との集中連携研究会を名古屋で開催し、奇周波数対状態などの理解を深めた。C01のテーマである、空間反転対称性のない系の超伝導の共同研究・理論研究も進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ルテニウム酸化物超伝導のスピン三重項性を吟味するレヴュー論文を出版することができた。これは2003年のRev.Mod.Phys.レヴュー論文発表以降の研究成果を集大成するもので、核磁気共鳴実験についても吟味を深めた。微結晶による研究は当初計画以上のペースで多角的に進行中である。トポロジカル超伝導の研究が世界的に加速しており、ルテニウム酸化物への注目度は高い。強磁性体と超伝導体の接合実験も計画以上の成果が上がっている。
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Strategy for Future Research Activity |
バルクの超伝導性について、核磁気共鳴からは新たな知見は出ていないが、それに代わって磁気熱量効果の実験が大いに進展しているので、引き続き力を注ぐ。微結晶や超伝導接合の実験技術が大いに向上したので、トポロジカル超伝導の起源となる超伝導内部位相を直接観察するための研究を重点的に推進する予定である。
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Research Products
(23 results)