2012 Fiscal Year Annual Research Report
Novel Edge States in Superconductors with Broken Time-Reversal Symmetry
Project Area | Topological Quantum Phenomena in Condensed Matter with Broken Symmetries |
Project/Area Number |
22103002
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前野 悦輝 京都大学, 理学研究科, 教授 (80181600)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏谷 聡 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 上級主任研究員 (40356770)
赤崎 達志 高知工業高等専門学校, 電気情報工学科, 教授 (10393779)
浅野 泰寛 北海道大学, 大学院工学研究院, 准教授 (20271637)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | トポロジー / 超伝導材料・素子 / 低温物性 / スピン三重項超伝導 / 奇周波数超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
【1】Sr2RuO4バルク超伝導体の未解決現象の解明(前野、米澤、石田;三宅(B0班)):超伝導ドメイン構造を抑えた微小単結晶での熱磁気効果・比熱の実験から、上部臨界磁場での超伝導転移が1次相転移であることを確定的にして論文発表した。また国際共同研究での中性子回折実験で、面平行磁場中での磁束状態を初めて明た。 【2】Sr2RuO4微小結晶を用いたトポロジカル超伝導現象の確立(柏谷、前野、米澤):微結晶/金の接合素子技術を飛躍的に向上させ、カイラル・エッジ状態に関する研究を進めた。またエッジ状態の直接観測のため微小超伝導量子干渉素子(SQUID)を用いた局所磁場測定を進めた。これらに必要な無冷媒冷凍機を導入した。さらに半整数フラクソイド状態の検証に向けて微結晶リングでの輸送特性測定の準備が整った。 【3】Sr2RuO4共晶接合系でのトポロジカル超伝導現象の開拓(前野、寺嶋、柏谷、浅野):従来型超伝導体と Sr2RuO4-Ru共晶による接合素子で、p波超伝導状態の証明となるπ-SQUID状態を観測し、その一方で低温では0-SQUID状態が安定となることを明らかにした。また「トポロジカル超伝導接合」の振る舞いの詳細を論文発表した。 【4】強磁性体を含む超伝導接合系の研究(赤崎、柏谷、浅野、前川):強磁性半導体とs波超伝導体の接合素子では初めて、奇周波数超伝導状態で予想されるギャップ中心状態密度の出現を観測した。 【5】マヨラナ準粒子と奇周波数超伝導(浅野;田仲(D班)):トポロジカル超伝導状態でのマヨラナ準粒子の出現に、奇周波数超伝導状態が密接に関係することを理論的に明らかにした。 【6】「トポロジカル超伝導・超流動」をテーマに集中連携研究会を開催し、他の班で扱うトポロジカル量子現象との共通認識を深めた。C班と連携して反転対称性破れの超伝導状態の研究を進め論文発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Sr2RuO4の超伝導転移が一次相転移であることを確定したことで、超伝導対称性の未解明問題の解決に向けて研究の流れに大きな弾みがついた。微細加工を駆使してSr2RuO4での接合素子やSQUID が再現性良く作製できるようになったことで、いくつもの研究成果が生まれてきている。特に共晶を用いたSQUID作製技術とその研究成果は予想以上のペースであがっている。またトポロジカル量子現象の重要要素であるマヨラナ準粒子についても、これまで本領域ならではの特徴的な研究成果を挙げてきた、「奇周波数超伝導状態」との関係を明快に示すことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
ルテニウム酸化物Sr2RuO4(SRO)の微小単結晶や、強磁性半導体・超伝導体接合素子などを用いて、トポロジカル超伝導現象の実証をさらに進める。後期採択の公募研究とも早い段階で連携を密にして、特にトポロジカル状態の量子ホール効果の系についての研究連携・交流を進める。 【1】 SROの超伝導対称性の確定を目指す研究:比熱や磁気熱量効果による研究成果も生かし、すべての観測事実の整合性をさらに吟味するとともに、熱ホール効果などの研究にも取り組む。 【2】 SRO を用いたジョセフソン接合素子、超伝導量子干渉素子(SQUID)による研究:【2-1】 SRO とNb の間にジョセフソン接合を安定に形成する技術を活用して、超伝導対称性、特に波動関数の位相情報を得るための実験を行う。【2-2】 コーナージョセフソン接合、コーナーSQUID を作製して、磁場応答および臨界電流の磁場応答から、カイラル超伝導特有の回転型の内部位相およびカイラルドメイン構造の検出をねらう。 【3】 半整数磁束量子に関する研究: 微小単結晶リングや多重SQUID 構造の素子を作製し、超伝導転移温度の磁場中振動から、半整数フラクソイド状態の検証を行う。 【4】 強磁性/超伝導接合でのトポロジカル量子現象の研究: 強磁性半導体/超伝導体接合で、強磁性体内に誘起される奇周波数スピン三重項状態の研究を理論・実験両面から進める。強磁性半導体の膜厚によって磁化容易軸が面内から面直に変化することを利用して奇周波数スピン三重項状態の存在の実証を目指す。 【5】 奇周波数超伝導状態とマヨラナ型準粒子の理論的研究: T 字型接合における奇周波数電子対の役割を明らかにする。また、s 波超伝導体とトポロジカル絶縁体から創る新奇なトポロジカル超伝導状態の近接効果を調べ、マヨラナ準粒子と奇周波数電子対の間の関連性を解明する。
|
Research Products
(21 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] トポロジカル量子現象2013
Author(s)
前野悦輝
Organizer
日本物理学会第68回年次大会 総合講演
Place of Presentation
広島大学、東広島市
Year and Date
2013-03-26 – 2013-03-29
Invited
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-