2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
22105005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 正浩 京都大学, 工学研究科, 教授 (20174279)
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Keywords | 非対称化 / 炭素-炭素結合切断 / β炭素脱離 / ロジウム / 不斉炭素 |
Research Abstract |
既に開発している不斉炭素-炭素切断を経る光学活性インダノールの合成法を不斉C-H結合切断反応へと展開した。すなわち、3位にフェニル基を2つもつシクロブタノールを基質として用い、DIFUORPHOSを配位子としてもつロジウム(I)触媒を70℃で作用させたところ、インダノールが98%の収率で得られた。ジアステレオマー比は75:25であり、主ジアステレオマーの光学純度は92%eeであった。この結果は、予想したようにβ炭素脱離による4員環炭素骨格の開環の後に起こるロジウムの1,4移動の過程で、2つのフェニル基のオルト位C-H結合の一方がエナンチオ選択的に活性化されたことを示唆する。さらに、アリールロジウム部分がカルボニル基に対して分子内付加する際にも、立体選択性が発現することを明らかにした。 C-H結合の酸化的カップリングによるフェナントリジン合成についても検討した。ベンズアニリドは、入手容易な安息香酸とアニリンを出発原料として合成可能である。本研究では触媒量のパラジウムを用いて酸化的カップリング反応を行いフェナントリジノンを得ることについて検討した。その結果、7mol%のPd(tfa)の存在下で溶融した安息香酸溶媒中、酸素雰囲気のもとでベンズアニリドを加熱撹拌すると、フェナントリジノンが89%の収率で生成することを見いだした。この反応ではアミド部位のカルボニル基が配向基として働き、まず始めにアニリン部位のC-H結合が活性化され、続いてアミド部位が回転し、パラジウム近傍に位置するフェニル基オルト位のC-H結合が活性化された後、還元的脱離によってフェナントリジノンが生成したものと考えられる。
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Research Products
(8 results)