2012 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstitution of anticancer agent-biosynthetic machinery and elucidation of its mechanism on molecular diversification
Project Area | Biosynthetic machinery: Deciphering and regulating the system for bioactive metabolite diversification |
Project/Area Number |
22108002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
及川 英秋 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00185175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 篤志 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40507191)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生合成 / ペプチド合成酵素 / 化学酵素合成 / 抗腫瘍性物質 / 麹菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗腫瘍性物質シアノサイクリン、キノカルシン生合成遺伝子の機能解析を行ない、以下の結果を得た。1)酸化酵素Cya16,Qcn18を大量発現およびそれを用いたin vitroの解析から、これまで未同定であった4番目の構成単位となる非タンパク性アミノ酸をL-dehydroarginineと決定した;2)骨格を構築するペプチド合成酵素が、補助タンパクQcn16の存在下でのみ、良好に発現可溶化することを突き止めた;3)Qcn16は、2種のNRPS, Qcn17/Qcn19と複合体を形成し、機能する;4)Qcn17、Qcn19のアミノ酸の活性化能を調べ、、dehydroarginineおよび3-hydroxytyrosineを特異的に基質とする。以上5種のNRPSのうち、4種の基質を特定し、dehydroarginine、芳香族アミノ酸と鎖状の合成基質を用いて標的化合物の骨格をin vitroで合成可能になった。 東北大五味教授と共同で、生合成酵素を用いて糸状菌由来天然物の合成研究を検討した。適切なベクターに遺伝子を組込み、形質転換した株が生産する新規中間体を構造決定するという方法論で、複雑な構造を有する天然物が合成できるかが課題であった。max-Kイオンチャネルの特異的阻害剤パキシリンの酵素合成を達成するとともに、6個の生合成酵素の機能をすべて解明することに成功した。この研究過程で、ゲラニルゲラニル基の導入、エポキシ化-環化を繰り返して行なう変換等、新規変換反応を見出した。また一種類のベクターを用いて、別個に異なる遺伝子を組込んだプラスミドを使って、同時に形質転換する方法論も開発した。これとは別にゲノム公開株から、機能未知テルペン環化酵素遺伝子を選択し、麹菌発現系を用いて、機能解析を行った。その結果、本酵素が、世界で初めてC25の基質を利用するテルペン合成酵素であることが証明できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ペプチド系抗腫瘍性物質の生合成は、各酵素の機能解析が終了し、酵素を使った骨格合成が可能になった。また東北大五味教授と共同で、麹菌異種遺伝子発現系を用いて、より複雑な天然物の酵素的全合成に挑み、達成することができた。また機能未知遺伝子を利用したゲノムマイニングにも成功する等、予想以上の成果をえることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
糸状菌の多種遺伝子発現系は、方法論の開発を終え、応用展開する時期に移った。これからは、より多くの酵素を必要とする天然物の合成、タイプの異なる化合物の合成や生産収量の向上にシフトすることになろう。ペプチド系抗腫瘍性物質の研究は、成果を早急に論文化するとともに、機能解析した酵素を用いて誘導体を合成する必要がある。
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Research Products
(8 results)