2012 Fiscal Year Annual Research Report
Development of deep brain imaging technology in behaving animals: stability and instability of neuronal circuit under physiological and pathophysiological conditions
Project Area | Generation of synapse-neurocircuit pathology |
Project/Area Number |
22110006
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
林 康紀 独立行政法人理化学研究所, 記憶メカニズム研究チーム, チームリーダー (90466037)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
海馬の神経細胞は、動物がある場所にいるときにのみ活動する「場所細胞」としての活動を示すことで知られる。我々は、ナビゲーション行動中のマウスの海馬の多数の神経細胞の活動を、高分解能の二光子レーザー顕微鏡により画像化する技術を開発し、こうした「場所」のような複雑な情報が、脳内で海馬の神経回路活動の時空間的パターン情報として貯蔵・表現される過程を明らかにする。 本年度は、空間上の特定の場所を記憶する際の海馬場所細胞活動を観察する目的で、VR上で空間学習をさせる事を試みた。これまでの経験から、トラックボール上で二次元平面での行動課題は、マウスが馴れるのに時間がかかる事が判ったので、この点を簡略化するために、1次元の直線路を1方向にのみ走行するタスクとした。走行路の周囲には、distal cueを置き、また特定の場所をreward areaとして設定し、壁と床の模様を変えた。マウスは走行路の一端から歩き出し、reward areaで停止すると報酬をもらうという学習を行う。走行路の反対端に到着すると、自動的に開始端にteleportされる。これを繰り返す事で学習を促す。ある程度学習が成立した後、reward areaの場所を変更し新たなreward areaの学習を促す。今回は、このタスクをマウスで訓練し、学習させるための、指摘条件を検討した。これに加え、空間記憶に加え、物体に関する記憶に関連した脳活動をイメージングするための仮想物体認識課題、の2つの新たなVR学習課題を開発も試みた。 成績の良い個体では、10回ほどの試行によりreward areaにて報酬が得られる事を学習した。その場で立ち止まらないと報酬が出ないようにタスクを変更したところ、立ち止まるようになったため、単に報酬が得られるので立ち止まったのではなく、場所を覚えて立ち止まったものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定通りに達成している。最大の困難が予想される点であった、VR上での学習課題が可能となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、自動検出した神経細胞集成体を解析する事により、場所に対応する神経細胞集成体が学習によって如何に変化して行くか、そこに置かれた「物体」に関する情報がどのように海馬神経回路の「認知地図」に貯蔵・表現されているかを解析する。 (1)VR空間内でナビゲーション行動するマウスの海馬の場所細胞活動のイメージング (2)VR空間内の場所手がかりを漸減あるいは変化させたときの場所細胞活動の変化 (3)より高度な認知機能が要求されるVR学習行動課題の開発。 またさらに場所に関する記憶が物体に関する記憶と結びつけられた時、両者に対応する神経細胞集成体がどう変化していくかも観察する。
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