2011 Fiscal Year Annual Research Report
人工多能性幹細胞作製技術を応用した神経変性疾患細胞機能・回路異常病理の解明
Project Area | Generation of synapse-neurocircuit pathology |
Project/Area Number |
22110007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 治久 京都大学, iPS細胞研究所, 准教授 (70332327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 隆 順天堂大学, 医学部, 教授 (70225845)
北岡 志保 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (00545246)
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Keywords | 脳神経疾患 / 脳・神経 / 神経科学 |
Research Abstract |
神経変性疾患は、ある特定のニューロサーキット(神経回路)が選択的脆弱性を有し、変性することによって生じる難治性疾患である。神経変性疾患の病因病理は神経細胞機能障害、構造異常タンパク質蓄積、神経細胞死、非神経系細胞による神経変性加速により成立する。本計画では、人工多能性幹細胞(induced pluripotentstem cell:iPS細胞)作製技術を応用して、それらの過程のうち、最も初期の変化である神経細胞機能障害を再現する神経変性疾患モデルの開発を行っている。 本年度、上位運動ニューロンの存在する大脳皮質第V層に比較的特異的な転写因子をレポーター遺伝子としてEGFPをノックインの手法で導入したコントロールヒトiPS細胞を作製した。EGFPの発現以外に、sNPアレイ、qPCR等の方法で、この遺伝子のプロモーター下にEGFPがノックインされていることを確認した。このiPS細胞を用いて、大脳皮質神経細胞への分化誘導を行い、in vitroにおけるレポーター遺伝子の発現時期についての経時的検討を行った。また、EGFP発現細胞をフローサイトメトリーによって純化・収集を行った。マイクロアレイによる遺伝子発現解析によって、レポーター遺伝子発現神経細胞ではprojection neuronに特徴的な遺伝子群の発現が上昇しており、興味深いことにそれらの遺伝子は上位運動ニューロン切断モデルで、大脳皮質第V層に発現が上昇する遺伝子群と一部共通であった。 また、本年度、上記レポーターを発現する遺伝性ALS iPS細胞を作製し、現在、それらのクローンについて、ノックイン細胞を選択中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コントロールiPS細胞へのノックイン細胞は予想以上に早く作製可能であった。しかし、大脳皮質第v層に比較的特異的な転写因子をレポーター遺伝子とするEGFPノックインコントロールiPS細胞から、EGFP発現神経細胞の分化効率は極めて低く、その後の解析の進捗を阻害する一因となっている。一方、ALS iPS細胞へのノックインは、(ヒトiPS細胞へのノックインは難しいとの予想通りであったが)現在、候補クローンを樹立している。
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Strategy for Future Research Activity |
EGFPノックインiPS細胞由来EGFP発現神経細胞と下位運動ニューロンのサーキットをin vivoおよびin vitroで作製する。シナプスダンパク質の発現以外に、シナプス機能イメージングコンストラクトを導入したイメージング等により、サーキットの機能解析を行う方法の確立を試みる。ALS iPS細胞へのEGFPノックインを確認後、その細胞クローンについて同様に、下位運動ニューロンとのサーキットをin vivoおよびin vitroで作製する。
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Research Products
(24 results)
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[Remarks] <報道>
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[Remarks] <HP>