2013 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸器悪性腫瘍の微小環境の特性を標的とした新規制御法の開発
Project Area | Integrative Research on Cancer Microenvironment Network |
Project/Area Number |
22112010
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
矢野 聖二 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (30294672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 健之 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (30262075)
西岡 安彦 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (70274199)
衣斐 寛倫 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (00645145)
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Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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Keywords | 肺がん / 胸膜中皮腫 / EMT / 薬剤耐性 / 分子標的薬 / ヒストン脱メチル化酵素 / Met / HGF |
Research Abstract |
肺がんと胸膜中皮腫(以下中皮腫)は極めて予後不良の呼吸器悪性腫瘍であり、その死亡率減少はわが国のがん医療の急務の命題である。肺がんにおいては上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)であるゲフィチニブやエルロチニブが特定の症例群に著効するが、ほぼ例外なく獲得耐性により再燃することが臨床上最大の問題となっている。 本研究では、腫瘍微小環境としての線維芽細胞や血管内皮に着目し、その特性を分子生物学的に理解 し、画期的な治療効果が得られる新規治療法の開発を目指している。 今年度は、腫瘍微小環境の線維芽細胞が産生する肝細胞増殖因子(HGF)が惹起するEGFR-TKI耐性に着目し、次世代型EGFR-TKIとMet阻害活性を有するALK阻害薬(クリゾチニブ)を併用することで耐性を解除できることを明らかにした。しかし、マウスモデルにおいて長期にわたり高用量の阻害薬を併用した治療を行った場合には、小腸~大腸粘膜に障害が発生し重篤な下痢が出現したことから、慎重に用量設定をする必要があると思われた。 また、中皮腫細胞の運動/浸潤能を制御する分子として、PAPPA(pregnancy-associated plasma protein A)を同定した。PAPPAはIGF結合蛋白4 (IGF-BP4)を切断しIGF-BP4に結合していたIGF-1を遊離させ、中皮腫細胞の運動/浸潤能を刺激した。PAPPA発現を抑制することでマウス同所移植モデルにおいて中皮腫の進展が阻害されたことから、PAPPAが中皮腫治療の標的分子であることが明らかとなった。 さらに、ヒストン脱メチル化酵素KDM5BがマイクロRNA200発現を低下し上皮間葉移行(EMT)を誘導することを見出し、KDM5Bが転移を含む腫瘍進展や分子標的薬耐性の標的分子であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肺がんの分子標的薬耐性を克服する治療法を見出し、胸膜中皮腫についても新規治療標的を同定しており、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
中皮腫検体におけるPAPPAの発現検討や、微小環境によるPAPPA発現制御機構を解明し、PAPPAを標的とした新規治療法開発に向けた検討を実施する。
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Research Products
(18 results)