2010 Fiscal Year Annual Research Report
ズームイン(高精細)とズームアウト(広視野・深部)観察を可能にする革新技術の開発
Project Area | Mutli-dimensional fluorescence live imaging of cellular function and molecular activity |
Project/Area Number |
22113003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮脇 敦史 独立行政法人理化学研究所, 細胞機能探索技術開発チーム, チームリーダー (80251445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱 裕 独立行政法人理化学研究所, 細胞機能探索技術開発チーム, 専門職研究員 (30261796)
佐々木 和樹 独立行政法人理化学研究所, 細胞機能探索技術開発チーム, 客員研究員 (10415169)
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Keywords | イメージング / 蛍光蛋白質 / 細胞周期 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
細胞は、細胞周期を刻みながら分裂を繰り返して増殖する。例えば生物の発生や再生においては、増殖と分化とが見事に絡み合って、組織、器官、そして個体が形成される。そうした協調的制御が破綻して細胞の増殖が無制限に盛んになると、がん(癌)が発生する。細胞周期を蛍光で可視化するプローブFucciは、分裂後からDNA複製前の時期にある細胞の核を赤色の蛍光で、DNA複製から分裂前の時期にある細胞の核を緑色の蛍光で標識する。近年、Fucci技術を活用することにより、生物個体の形態形成、創傷治癒、がん化などのメカニズムに関して新たな知見がもたらされている。またこの技術は、がんの治療評価や診断法開発、さらには移植後の胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)の増殖をモニタリングする技術の開発に役立つことが期待されている。今回、Fucciの技術を抗がん剤に対する細胞の応答性を調べる研究に活用し、個々の細胞が見せる反応の動態を定量的に観察する事に成功した。古典的な抗がん剤として有名なEtoposide(エトポシド)で処理した細胞の反応を経時的に調べたところ、低濃度ではG2期における細胞周期進行の停止が、中濃度では細胞核の分断化が、また高濃度では細胞分裂をスキップして核DNA量が増大する現象(endoreplication)が観察された。核が分断化した細胞は死に向かうのに反して、endoreplicationを示す細胞は抗がん剤に対する抵抗性を獲得したものとみなされる。抗がん剤を高濃度で投与した場合に、がん組織がより悪性化する可能性を示す結果で、現行の抗がん剤のスクリーニング方法に一石を投じる研究成果であると言える。
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Research Products
(2 results)