2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトT細胞白血病ウイルス1型による免疫系の破綻機構
Project Area | Conversion of tumor-regulation vector to intercept oncogenic spiral accelerated by infection and inflammation |
Project/Area Number |
22114003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 雅雄 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (10244138)
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Keywords | HTLV-1 / ATL / 制御性Tリンパ球 / HBZ / Tax |
Research Abstract |
本研究では免疫系で中心的な働きをしているCD4陽性Tリンパ球、制御性Tリンパ球をHTLV-1が如何に変調させ免疫系をハイジャックし、発がんへと繋がっているかを明らかにし、その治療法開発へと繋げることを目的としている。HBZはTGF-beta/Smad経路を活性化してFoxp3遺伝子の転写を誘導することを明らかにした。HBZによるTRF-beta/Smad経路の活性化はTリンパ球の増殖に影響を与えず、選択性があることを見出した。HBZで誘導されるFoxp3陽性細胞ではinduced Treg細胞が増加していた。HBZがCD4陽性細胞の機能障害を起こし、免疫不全の原因となっていることを報告した。このためHBZトランスジェニックマウスはリステリア感染、単純ヘルペスウイルス感染症に対して感受性が増しており、それはCD4陽性Tリンパ球においてTh1サイトカインの産生障害に依ることを報告した。このサイトカイン産生障害の原因はHBZがNFAT, AP-1経路を阻害するためである。HBZトランスジェニックマウスの解析からリンパ球浸潤が皮膚・肺・腸管にあり、HBZ発現細胞の細胞接着、遊走が亢進していることが原因であることを明らかにした。HBZを抗原としてマウスを免疫し、細胞傷害性Tリンパ球の誘導に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、予定していたHBZによる炎症誘導機構、HBZの免疫障害作用、HBZに対する免疫誘導に関して順調に遂行できている。今後、個体レベルでの炎症、免疫に与える影響を解析していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を踏まえ、HBZによる増殖、炎症、発がんという作用を繋ぐ機序を明らかにし、HBZによる病原性発現機構の全体像を明らかにする。
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Research Products
(14 results)