2012 Fiscal Year Annual Research Report
Genomic instability and mechanisms of carcinogenesis due to infection and inflammation
Project Area | Conversion of tumor-regulation vector to intercept oncogenic spiral accelerated by infection and inflammation |
Project/Area Number |
22114006
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
東 健 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60221040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸澤 宏之 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80324630)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 感染 / 炎症 / 発がん |
Outline of Annual Research Achievements |
胃上皮細胞へのAID発現の結果、癌抑制遺伝子p53への塩基変異とともに、CDKN2A-2Bへの塩基変異と遺伝子領域の欠失が誘導されることを明らかとした。そこで、感染・炎症からのがんの発生過程におけるゲノム異常の生成にAIDが果たす役割を検証する目的で、炎症発がんモデルであるIL-10ノックアウトマウスとAIDノックアウトマウスを交配することで、発がん率の差異について検討を行った。その結果、IL-10ノックアウトマウスの慢性炎症を伴った腸管上皮には発がん関連遺伝子への変異の蓄積と大腸がんの自然発生を認めたのに対し、内在性のAIDのないIL-10ノックアウトマウスでは腸管上皮への遺伝子変異の生成が有意に減少し、炎症からの大腸がん発生も顕著に抑止されることが確認された。また、スイス菌をマウスに経口感染させることで、マウス胃粘膜にリンパ濾胞の形成を認め、CXCL13の発現が増加した。CXCL13は、B細胞を選択的に誘引する走化性因子であり、その受容体であるCXCR5との相互作用により、脾臓、および、リンパ節内の濾胞形成に関わる因子である。一方で、CXCL13の発現上昇は、関節リウマチ、自己免疫疾患、ならびに、ピロリ菌感染における胃炎など、様々な病変の発症に関与していることが知られており、関節リウマチ発症マウスモデルにおいて、抗CXCL13抗体をマウスに投与することにより、病変発症の改善効果が報告された。そこで、スイス菌感染により発現誘導されるCXCL13に着目し、その中和抗体である抗CXCL13抗体をマウスに腹腔内投与したところ、スイス菌感染マウスの胃粘膜おいて、リンパ濾胞形成が抑制されており、CXCL13発現誘導に関与するNF-κB2の活性化も阻害されていた。さらに、リンパ濾胞形成に関与するLTA、LTB、CXCR5、THFR1、ならびに、LTBRの発現も低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度4編の英文論文を発表している。また、中間評価でA評価であった。
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Strategy for Future Research Activity |
近年、AIDが脱メチル化酵素としてエピゲノム制御にも深く関与していることが明らかとなりつつある。そこで、感染・炎症からの発がん過程において生じるゲノム異常とともにエピゲノム異常の生成にAIDが果たす役割を包括的にとらえることを目標に、次世代シーケンサー解析技術を駆使してゲノムワイドな解析を進めていく。また、スイス菌培養法を確立することにより、スイス菌in vitro感染実験が可能になり、スイス菌のリンパ腫発生の詳細な分子メカニズムを検討していく。
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