2011 Fiscal Year Annual Research Report
Dachsous/Fatシグナリング系を介した位置情報決定メカニズムの解明
Project Area | Molecular mechanisms underlying reconstruction of 3D structers during regeneration |
Project/Area Number |
22124003
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
野地 澄晴 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (40156211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 淑代 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (00253229)
三戸 太郎 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (80322254)
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Keywords | 再生 / 位置情報 / Dachsous/Fatシグナル / Lowfat / エピジェネティック因子 |
Research Abstract |
コオロギなどの不完全変態昆虫の幼虫の脚を切断すると、脚の遠位端に増殖能が高い多能性細胞からなる再生芽が形成される。再生芽細胞がパターン形成遺伝子の働きを受けて再パターニングされ、数回の脱皮を経て失われた部分が付加的に再生される。再生芽細胞が分化細胞からどのようにして誘導されるのか、再生芽細胞の増殖はどのように制御されるのか、またどのような遺伝子が再パターニングに働くのかについての知見はまだ少ない。また不完全変態昆虫の脚の移植実験から、各脚節の遠近軸方向と円周方向に位置情報があることが示唆されているが、その分子実体は長年にわたって未解明である。失われた組織の3次元的な再生を制御する分子メカニズムを解明するため、我々はコオロギのDachsous/Fatシグナリング系に着目した。Dachsous/Fatシグナリング系は進化的に保存されたシグナル経路であり、細胞増殖や平面内細胞極性、遠近軸方向のパターン形成を制御する。DachsousやFatの下流で働くLowfatは脊椎動物Lix1のホモログである。コオロギlowfatの機能を低下させると切断位置に応じて脚が短く再生したが、挿入再生には変化が見られなかった。このことからコオロギの脚ではDachsous/FatシグナルがLowfatを介して位置情報の保持に働くことが示唆された。他方、再生芽細胞の誘導や再分化に関わる因子の単離を目指し、正常脚と再生脚を用いてトランスクリプトーム解析を行った。再生脚では様々なシグナル経路の因子の発現が上昇していたほか、転写因子やエピジェネティックな因子の発現も上昇していた。脊椎動物と異なり、コオロギではDNAのメチル化を阻害しても再生には影響が無かったため、ピストンの修飾を介した遺伝子発現制御が再生にどのように寄与しているかを解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
再生脚のトランスクリプトーム解析から再生に必要と考えられる多くの遺伝子の情報を得ることができ、再生脚の長さの決定に関与する新規遺伝子を同定することが出来ている。またDachsous/Fatシグナリング系の機能をより詳細に解析するためノックアウトコオロギの作製に着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
トランスクリプトーム解析から同定された、再生脚の長さを制御する新規遺伝子について機能解析を行い、長さが変化した脚での位置情報の変化を調べる。Dachsous/Fatシグナリング系の因子に対してZFNあるいはTALENをデザインし、ノックアウトコオロギを作成する。ノックアウトコオロギの再生脚の形態から位置情報の変化を調べる。ZFNやTALENの技術を応用し、Dachsous/Fatシグナリング系の因子の発現パターンを可視化出来るノックイン系統の樹立を目指す。
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Research Products
(29 results)