2012 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms underlying determination of positional information through Dachsous/Fat signaling system
Project Area | Molecular mechanisms underlying reconstruction of 3D structers during regeneration |
Project/Area Number |
22124003
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
野地 澄晴 徳島大学, 本部, 理事 (40156211)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 淑代 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00253229)
三戸 太郎 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (80322254)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 脚再生 / コオロギ / Dachsous/Fatシグナル / RNAi / Distal-less / Dachshund |
Outline of Annual Research Achievements |
昆虫の脚再生系を用いて、位置情報決定メカニズムを分子レベルで解明することを目的として,コオロギの脚再生系を利用して研究を行っている。我々は脚再生過程にのみ生じるRNA干渉(RNAi)法を利用し、独自に分子レベルの研究を行ってきた。コオロギの脚再生においてはプロトカドヘリンDachsous/Fatが再生芽細胞の細胞増殖制御と器官内の位置情報の決定に関与していることを報告してきた。また、公募班の吉田 寛と再生原理の理論的な考察を行った。再生現象を分子レベルで解析するため、(1)コオロギのゲノム配列の解読を行い、推定ゲノムサイズとほぼ同等の約1.8Gbの配列を解読した。また(2) zinc finger nucleases(ZFN)およびTAL Effector nucleases(TALEN)を用いたコオロギ個体のゲノムの改変に成功し、ノックアウト変異体を作出する方法を確立した。コオロギの脚再生においてはDachsous/Fatシグナルが位置情報の維持に必要であることを報告していたが、これまでに本研究から新規蛋白質LowfatやJak/Statシグナル経路がDachsous/Fatシグナルの下流で働くことを解明した。さらに,Distal-less, DachshundとDachsous/Fatシグナルとの関連を調べた.コオロギ個体におけるゲノム編集技術の確立などの研究成果はNature Communications 2012;3:1017などの雑誌に掲載されたほか、国際学会での招待講演(13th International Congress on Invertebrate Reproduction and Development, 2013, USA)も依頼され国際的に高く評価されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Dachsous/Fat シグナルの機能解析を行い,その成果について総説を発表した(Dev Dyn. 2011;240:1028-1041).この成果については,国際的な発生生物学の教科書である「Princeiples of Development」(L. Wolpert and C. Tickle著)に引用されている. Dachsous/Fat と協調的に働く Lowfat(Dev Dyn. 2011;240:1440-1453)や Notch シグナル(Development. 2011;138:3823-3833)の機能解析をおこなった.脚の長さを決めるSteepness Modelについては,公募班の吉田 寛と再生原理の理論的な考察を行い,非線形な勾配でも適用できることがわかった。さらに、コオロギ個体におけるゲノム編集技術をZFNやTALENを用いて行い,その研究成果は Nature Communications 2012;3:1017 などの雑誌に掲載された.現在,この技術を利用して再生関連の遺伝子の研究を行っている.このような研究成果は海外でも高く評価され,国際学会での招待講演(13th International Congress on Invertebrate Reproduction and Development, 2013, USA)を依頼されている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成 24 年度までの研究経過:再生現象を分子レベルで解析するため、(1)コオロギのゲノム配列の解読 を行い、推定ゲノムサイズとほぼ同等の約 1.8Gb の配列を解読した。このデータを利用して,再生に重要な遺伝子のシスエレメントの解析をゲノム編集法を用いて行う.特に,最近CRISPR/CASシステムがコオロギでも非常に効率よく働くことがわかったので,それを利用してコオロギ個体のゲノムの改変し、ノックアウト変異体を作出する。さらに,ノックインの技術の開発を行い,Dachsous/Fat遺伝子領域にGFP遺伝子をノックインして,その発現変化をリヤルタイムに追跡できるようにして,再生の現象を解明する.筋肉や表皮の細胞に特異的に発現する遺伝子にノックインすることにより,各細胞の細胞系譜を追跡する. さらに,マウスで再生できない四肢を再生できるようにするための,基礎的な準備として,マウスノックアウトをゲノム編集法を用いておこなう.特に,iPS細胞を用いた胚盤胞補完法により,マウスの四肢の発生メカニズムを解明し,四肢が再生するためのキー遺伝子を探索する.再生する脚をもつコオロギから得られた情報をマウスの脚の再生に利用する方法を検討する.
|
Research Products
(4 results)