2013 Fiscal Year Annual Research Report
Dachsous/Fatシグナリング系を介した位置情報決定メカニズムの解明
Project Area | Molecular mechanisms underlying reconstruction of 3D structers during regeneration |
Project/Area Number |
22124003
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
野地 澄晴 徳島大学, 本部, 理事 (40156211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 淑代 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00253229)
板東 哲哉 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60423422)
三戸 太郎 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (80322254)
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Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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Keywords | 脚再生メカニズム / 位置情報 / コオロギ / ゲノム編集 / RNAi / 細胞接着分子 / steepness model / 脚セグメントのサイズ |
Research Abstract |
1.位置情報形成メカニズム解明のための Dachsous/Fat シグナルの機能解析 コオロギ脚再生過程において器官内の位置情報の保持に Dachsous/Fat シグナルが必要であることを明らかにした。特に、Dachsous/Fat がヘテロダイマーあるいはホモダイマーを形成し、その数が位置情報に関与すると考え、拡張型steepness model を提案し、論文を作製した。コオロギfatのカドヘリンドメインや細胞内ドメインを認識するTALENやCRISPRを作製して変異体の作出 を試みたが、致死個体が多く明確な表現型は現在のところ得られていない。 2.エピジェネティックな遺伝子発現制御因子の単離 ヒストンH3K27のメチル化が脚のパターン形成遺伝子の発現制御に必要なことが見いだされたため、再生過程に おけるヒストンのメチル化の再生への影響を調べた。論文を作成中である。 3.CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集をコオロギ卵を用いて行った。ラッカーゼ遺伝子を標的として調べた結果、ノックアウトもノックインもできる方法を開発した。今後、この方法を用いて再生関連遺伝子の機能を調べる。 4.胚盤胞補完法による臓器再生法の検討 Stat ノックアウトコオロギは脚の再生ができないが、そこに正常な再生芽を移植し、再生できるかを検討しているが、まだ成功していない 。一方、FGF10ノッ クアウトマウスは四肢が形成できないことを利用して、補完法によりマウスiPS細胞を用いて四肢の再生を検討している。CRISPR/Cas法により、四肢が無い個体がほぼ100%得られることが可能になった。そこで、受精卵を培養後に正常なES細胞をインジェクションしている。現在のところ、発生率が悪く成功していない。今後、この実験を継続して行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昆虫の脚の再生において、位置情報を担う分子として、Fat/Dachsous系が関与していることを発見し、そのメカニズムにつて、steepness modelを拡張して説明できることを示すことができた。これは、理論の専門家との共同研究であり、理論家との共同研究による成果を上げることは、新学術領域の一つのミッションであったので、良い成果である。一方、再生においては、エピジェネティクな因子が関与していることを発見し、特にヒストンのメチル化が脚再生において重要な役割を担っていることも発見した。さらに、JAK/STAT系のシグナルカスケードが再生芽形成の初期に関与していることも、転写産物の網羅的解析から発見した。今後は、さらにゲノム編集法を確立できたので、この方法を利用して、解析を行うことができる。昆虫によるゲノム編集は本グループがトップを走っているので、早急に結果を発表したい。
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Strategy for Future Research Activity |
コオロギの脚再生系を利用して、RNAi法およびゲノム編集法により、再生関連遺伝子の機能解析を非常に効率よくできるシステムができたので、今後の成果が期待される。特に、ゲノム編集法により、ノックインができる方法を開発したので、重要な遺伝子のゲノムにレポーター遺伝子をノックインすることにより、遺伝子発現などがreal timeで知る事ができるので楽しみである。 一方、マウスを用いた再生関連遺伝子の解析も行う予定である。やはり、ゲノム編集法を用いて、遺伝子の機能を解析すると同時に、胚盤胞補完法と四肢が形成されないFGF10ノックアウトマウスを用いて、四肢再生の方法を研究することが可能となった。現在、方法を開発しているが、少なくともCRISPR/Cas法によりほぼ100%でノックアウトができる方法を開発したので、一つの受精卵を用いて胚盤胞補完法た利用できることがわかった。この方法を用いて、再生可能なマウスの四肢を作製できれば本プロジェクトのミッションを達成したことになる。
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Research Products
(8 results)