2012 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪蓄積制御の生理と病理における遺伝子転写ネットワーク解析
Project Area | Molecular Basis and Disorders of Control of Apetite and Fat Accumulation |
Project/Area Number |
22126011
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小川 渉 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40294219)
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Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 肥満 / エネルギー代謝 |
Research Abstract |
PGC1α新規アイソフォームの骨格筋の脂肪燃焼機能について解析を進め、既知アイソフォームと同様にPPARαに対する転写刺激活性を増強させることにより、ミトコンドリア関連遺伝子や脂質酸化系遺伝子の転写を制御することを明らかとした。また、褐色脂肪組織におけるPGC1α新規アイソフォームの機能についても解析を進め、褐色脂肪組織内でも、新規アイソフォームが既知アイソフォームと同様な遺伝子群を同様の強度で発現を増強させることを見出した。またPGC1α新規アイソフォーム遺伝子欠損マウスの解析から、PGC1α新規アイソフォームは褐色脂肪組織において寒冷刺激時には熱産生系遺伝子の発現制御に重要な機能を担い、実際の体温維持にも必須の役割を持つことも明らかとした。転写因子KLF15については、骨格筋細胞での過剰発現や発現抑制実験により、脂肪酸酸化系遺伝子の重要な制御因子であることも明らかとした。また脂肪細胞特異的PDK1欠損マウスの解析においては、脂肪細胞におけるPDK1の欠損により、インスリン作用としてよく知られている脂肪酸合成にかかわる遺伝子の発現だけでなく、脂肪分解系遺伝子や脂肪的形成に関わる遺伝子、脂肪輸送に関わる遺伝子などの多くの遺伝子発現の変化を認め、PDK1の欠損が広範な脂肪細胞機能の異常を引き起こすことが明らかとなった。また、本マウスの肝臓には高度の脂肪蓄積だけでなく、NASH様の組織学的変化、生化学的変化が生じることを明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PGC1α新規アイソフォームの機能解析については当初の計画通りの解析をすすめ、制御する遺伝子群やその機構についての新規な知見が得られた。また褐色脂肪組織における役割についても、寒冷時の適応や運動時の熱産生の変化などについて、計画通りに解析を進めることができた。KLF15についても骨格筋での脂肪燃焼における一定の役割を示す治験を得ることができた。さらに、脂肪細胞特異的PDK1欠損マウスについても、当初予定していた脂肪伊細胞自身での変化、肝臓での変化について解析することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的の達成のため、予定した遺伝子改変マウスの解析を中心に計画を進展させる。また、新規に明らかとなったKLF15の脂肪燃焼機能における生理的意義を明らかとするため、新たな遺伝子改変動物の作成を進める。
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