2010 Fiscal Year Annual Research Report
到達距離が異なる複数の相互作用が生み出すマクロな構造
Project Area | From molecules, cells to organs : trans-hierarchical logic for higher-order pattern and structures |
Project/Area Number |
22127003
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 滋 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (10252503)
|
Keywords | チューリング / ゼブラフィッシュ / 皮膚模様 / 反応拡散 / ネットワーク |
Research Abstract |
自律的なパターン形成の原理を明らかにする目的で、ゼブラフィッシュの皮膚模様の形成原理を分子レベルで解明することを目指している。既に、leopard,jaguar遺伝子のクローニングに成功し、それらの遺伝子の役割について調べているが、他にも重要な遺伝子がいくつか存在するため、それらのクローニングも進めている。そのうち、seurat,daliについて、ポジショナルクローニングを進めており、遺伝子の特定に成功した。Seuratは、縞の感覚が短くなるという特徴を持つ変異であり、原因遺伝子はigsfllというimmunogloblinに相同性のある膜たんぱく質であった。このタンパクは色素細胞同士の膜結合に関与するというデータが得られており、皮膚内での相互作用の重要因子であると想定される。Daliの原因遺伝子は、テトラスパニンという遺伝子であり、遺伝子導入による変異形質の再現にも成功しているが、詳細な機能については、今後のさらなる研究が必要である。 もう一つの重要な発見は、模様を作る2種類の色素細胞が互いに長い突起を伸ばして直接接触し、シグナルを送りあっているらしいことがわかった事がある。特に黒色素細胞の突起は、縞の半分の長さに及ぶほど長く、しかもその先端ではnotch-deltaによるシグナル伝達が起きている。この発見は、これまでの反応拡散モデルが現実の皮膚においては正しく無く、突起による相互作用を使ったモデルに修正しなければならない事を示唆している。ただし、拡散による長距離の効果が突起の長さで代用できるので、数学的な構造は反応拡散モデルと相同であり、縞模様はturing patternである事実は変わらない。
|
Research Products
(7 results)