2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Molecular mechanisms for establishment of sex differences. |
Project/Area Number |
22132002
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
諸橋 憲一郎 九州大学, 大学院・医学研究院, 主幹教授 (30183114)
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Keywords | 性差 / 性特異的エンハンサー / クロマチン構造 / ライディッヒ細胞 |
Research Abstract |
生殖腺は性差を示す根源的な組織であり、遺伝子発現を介した生殖腺の性決定機構の研究は大きく進展した。そして、この成果をもとに、性決定過程以降に生じる性差構築の機構が注目されるに至った。そのような観点から、われわれは性特異的遺伝子発現に着目し、クロマチン構造変換を介した遺伝子発現の性差構築機構を解明する基盤を整えている。精巣には生殖細胞の分化をサポートするセルトリ細胞等男性ホルモンを合成するライディッヒ細胞が存在し、それぞれに卵巣における発現とは異なる性特異的発現を示す。そして、これらの遺伝子の発現調節は性特異的なエンハンサーによって行われていると推測される。また、同時に性ステロイドホルモンの作用によって、体内のほとんど全ての細胞が性差を示す。そこで、本研究では性差とエンハンサーの機能に着目し、全ゲノムレベルで性特異的エンハンサーのクロマチン構造を明らかにするための実験を進めている。本年度は、性差構築に重要な役割を担う転写因子Ad4BP/SF-1に着目し、ステロイド産生能をもつ副腎皮質由来のY-1細胞を用いて、次世代シークエンサーによる解析を行った。その結果、この細胞ではヒストン3の27番目のリジン残基がアセチル化されるようなエンハンサーマークをもつ、2万を越える領域が確認された。これらの領域のうちAd4BP/SF-1が結合している領域は約7千カ所であった。同時に、次世代シークエンサーを用い、活性化されている遺伝子を調べたところ、活性化されている多くの遺伝子内に上記のエンハンサーが存在することが明らかになった。以上の結果から、次世代シークエンサーを用いたエンハンサー解析が可能であるとの結果を得ることができた。また、純度の高い胎仔ライディッヒ細胞と胎仔セルトリ細胞を回収するために、それぞれの細胞がEGFP陽性のトランスジェニックマウスを準備し、回収が可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの収集に向けて、ほぼ計画通りに準備段階の実験が進んでいる。特に、次世代シークエンサーを用いたトランスクリプトーム解析、ならびにChIP-sequence解析については、領域内で協力体制が整ったことから、今後の解析は滞りなく行うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の計画通りに進めて行く。特に、性差構築に関わる遺伝子発現制御について、その遺伝学的制御メカニズムと内分泌制御メカニズムを区別しつつ、相互のインタラクションに重点を置きながら、進める予定である。これらの解析を進めるための遺伝子改変マウスは既に入手済みである。
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Research Products
(11 results)