2012 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of sex differences through sex-specific enhancer
Project Area | Molecular mechanisms for establishment of sex differences. |
Project/Area Number |
22132002
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
諸橋 憲一郎 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (30183114)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 性差構築 / 性特異的エンハンサー / 精巣 / 卵巣 / クロマチン構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
精巣には生殖細胞の分化をサポートするセルトリ細胞と男性ホルモンを合成するライディッヒ細胞が存在し、性特異的遺伝子発現を示す。そして、これらの遺伝子の発現調節は性特異的なエンハンサーによって行われていると推測される。同時に、性ステロイドホルモンの作用によって、細胞が性差を獲得する。本研究では、性特異的遺伝子発現を制御する性特異的エンハンサーのクロマチン構造を全ゲノムレベルで検討している。この研究により、性差構築の分子メカニズムを解明することを目的とする。 性差構築に重要な役割を担う転写因子 Ad4BP/SF-1 に着目し、本因子が結合する領域を全ゲノムレベルで検討した。実験には、ステロイド産生能をもつ副腎皮質由来のY-1細胞ならびに精巣ライディッヒ細胞を用いて、次世代シークエンサーによるChIP-sequence解析を行った。また、siRNA阻害実験やメタボローム解析を行った。その結果、Ad4BP/SF-1が解糖系とコレステロール産生に関与する一群の遺伝子を制御することが明らかになった。この結果は、Ad4BP/SF-1が解糖系遺伝子の制御を通じ、細胞内エネルギーの代謝調節を行っていることを強く示唆するものであった。一方、本因子が、性ステロイドホルモン産生に関与する全ての遺伝子を制御していることを考慮すれば、同時にステロイドホルモンの前駆体であるコレステロールの合成系遺伝子を制御することは極めて合理的であると考えられた。コレステロールホメオスタシスの観点から、更に詳細な検討が必要である。今回の実験ではAd4BP/SF-1が解糖系やコレステロール合成など、多数の遺伝子から構成されるbiological processの制御にどのように関わるかを明らかにするためのヒントを得ることができた。一方で、このような転写因子に性差があるかについては、今後詳細に検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は概ね順調に進行していると考える。特に、解糖系遺伝子がAd4BP/SF-1の標的遺伝子として同定されたことは、性差構築にエネルギー代謝の制御が重要であることを示唆しており、性差構築の分子メカニズムの解明に向け新たな視点を与えた。一方、副腎皮質細胞とライディッヒ細胞に加え、胎仔ライディッヒ細胞ならびに肝細胞にてChIP-sequenceを行うことで、クロマチン構造の性差を検討する準備を整えており、今後の研究に向けた準備も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記目的の達成のため、今後は以下の3点について研究を推進する予定である。 ① Ad4BP/SF-1の結合領域におけるヒストン修飾の同定;各種のヒストン修飾抗体を用いAd4BP/SF-1結合領域のヒストン修飾を決定する。修飾の組み合わせ、また特徴的な修飾を同定することでAd4BP/SF-1の結合領域をグループ分けし、修飾の組み合わせがどのような制御に結びつくかを解明する。 ② Ad4BP/SF-1の修飾と複合体精製;これまでの研究結果から、Ad4BP/SF-1が解糖系ならびにコレステロール生合成経路に位置する遺伝子の制御に関わることが示された。そこで、糖濃度やコレステロール濃度に対する本因子の応答を調べる。同日に、領域内共同研究によって、Ad4BP/SF-1の修飾を調べるとともに、転写複合体の精製を行う。複合体に含まれるヒストン修飾因子の活性に性差が認められるか、どのような刺激に連動するのかを明らかにする。 ③ ライディッヒ細胞、セルトリ細胞、雌雄の肝細胞の性差構築における遺伝的制御と内分泌制御;これまでに男性ホルモン受容体や女性ホルモン受容体ノックアウトマウスやGFP標識マウスを準備してきた。これらのマウスから胎仔ライディッヒ細胞、セルトリ細胞、ならびに肝細胞を調整し、Ad4BP/SF-1、AR、ERα、ERβの結合領域を決定する。同時に、精巣摘出マウスや卵巣摘出マウスを用いる実験も行う。また、得られた結合領域についてクロマチン修飾を調べ、遺伝的制御と内分泌制御によるクロマチンの性差構築を明らかにする。これをもとに、領域内共同研究によって、既報、または新規の複合体の関与を検討する。
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[Journal Article] Contribution of Leydig and Sertoli cells to testosterone production in mouse fetal testes2013
Author(s)
Yuichi Shima, Kanako Miyabayashi, Shogo Haraguchi, Tatsuhiko Arakawa, Hiroyuki Otake, Takashi Baba, Sawako Matsuzaki, Yurina Shishido, Haruhiko Akiyama, Taro Tachibana, Kazuyoshi Tsutsui, Ken-ichirou Morohashi
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Journal Title
Mol Endocrinol
Volume: 27
Pages: 63-73
DOI
Peer Reviewed
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