2010 Fiscal Year Annual Research Report
心臓興奮伝播ダイナミクスとその破綻による致死性不整脈発生機構の統合的解明
Project Area | Establishment of Integrative Multi-level Systems Biology and its Applications |
Project/Area Number |
22136010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
本荘 晴朗 名古屋大学, 環境医学研究所, 准教授 (70262912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 香一郎 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (50194973)
佐久間 一郎 東京大学, 工学系研究科, 教授 (50178597)
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Keywords | 心臓電気生理学 / 不整脈 / 興奮伝播 / 光学マッピング / スパイラル・リエントリー / 活動電位 / ギャップ接合 / イオンチャネル |
Research Abstract |
1.心筋活動電位光学マッピング・システムの高機能化 実験動物摘出灌流心臓の興奮伝播・消退過程や渦巻き型興奮旋回(スパイラル・リエントリー)のダイナミクスを活動電位波形変化の面から詳細に解析するため、従来の光学マッピング・システムの光学分解能を向上させるとともに、蛍光画像処理・解析ソフトウェアを更新した。これらの改良により、興奮波面の二次元形状と局所伝播速度との関係や、電気刺激に伴う電気緊張電位の空間的分布、スパイラル・リエントリーのさまよい運動のダイナミクスなどが定量的に解析可能となった。また、心筋興奮伝播をミリ秒の時間分解能でリアルタイムに解析し、その情報に基づいて電気刺激を印加するタイミングを調節することができるリアルタイム・フィードバック電気刺激システムを開発した。更に、心筋電気活動や不整脈発生と密接に関連する心筋細胞内のカルシウム動態を細胞膜電位変化と同時に計測するため、2台の高速度カメラを搭載した二波長蛍光同時マッピング・システムを新たに構築した。 2.実験動物摘出灌流心臓の興奮伝播ダイナミクスの解析 上記システムを用いて、ウサギ摘出灌流心臓の二次元心室筋における興奮伝播と、直交電場刺激誘発スパイラル・リエントリーのダイナミクスについて解析した。ギャップ接合を介する心筋細胞間電気的結合を薬理学的に促進すると、興奮前面の彎曲効果が増強され、強く彎曲した興奮波の伝播速度はかえって低下することが明らかになった。このためスパイラル中心付近で限局的な減衰伝導が生じて、リエントリーの旋回ダイナミクスが不安定化し、頻拍の早期停止が促進されることが判明した。また、イオンチャネル機能修飾や自律神経活動が心筋興奮伝播やスパイラル・リエントリーのダイナミクスに及ぼす効果についても検討を進めている。
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Research Products
(23 results)