2013 Fiscal Year Annual Research Report
刑罰と犯罪抑止 厳罰化と死刑の効果を信じる人々はどうすれば意見をかえるのか
Project Area | Law and Human Behavior |
Project/Area Number |
23101003
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
河合 幹雄 桐蔭横浜大学, 法学部, 教授 (40257423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 麻奈子 同志社大学, 法学部, 教授 (00281171)
平山 真理 白鴎大学, 法学部, 准教授 (20406234)
久保 秀雄 京都産業大学, 法学部, 准教授 (80378512)
木村 正人 高千穂大学, 人間科学部, 准教授 (80409599)
葛野 尋之 一橋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90221928)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 死刑 / 刑罰 / 世論 / 厳罰化 / 討論民主主義 / 更生 / 刑事政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的のひとつは、内閣府や新聞社が実施してきた世論調査の方法にも解釈にも問題点があり、日本国民が死刑を含む刑罰に対して持っている意見の測定が正確にできていないことを正すことである。 死刑制度は「場合によってやむをえない」といったような選択肢を用いないで、軽度に批判的な意見の選択肢を使うなども含め、選択肢を工夫するだけでなく、終身刑があったならばなどの、様々な条件設定のもとでの賛否をとうなど多角的な質問を工夫し、本格的な全国意識調査を準備し、実施した。 本年度は、この調査票の精査に、すべての労力をかけ、人々が、どの程度刑罰制度についての知識をもっているか、多数の質問を用意した。また、必ずしも、合理的な理由説明によって、死刑制度の支持がなされているわけではないことも見越して、公共の場での小さなマナー違反に対して厳しい態度をとるのかどうかなど、道徳的な態度についても多角的な質問を用意した。 各質問の役割と目的を明確にするべく、一覧表を作成し、質問を精査した。これは、問題意識の精査でもあり、さらに、成果の分析と報告の際にも役立つものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、本格的な全国意識調査が、3年目にほぼ終えられた。実施自体は、166地点選んだ調査地の自治体での手続きが厳格化したために、一部、年度を繰越て調査を終える形となったが、翌年6月には結果を得ることができた。 この調査は、方法としても、調査会社に簡易に実施してもらうものではなく、調査地域のサンプリングからはいる、全く本格的な全国意識調査であり、それにかける労力は、本科研の研究のなかでも、とりわけ大きなものである。その部分を終えることができたので、結果を分析して、報告していくのにあたって、残り2年弱あるということは、順調なペースで来たと言えると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
意識調査の成果を分析して、様々なところで発表していくことになる。 幸いなことに、インターネット調査を用いれば、非常に低価格で、ある程度の水準の精度を保った意識調査が可能である。そこで、これまでの調査の分析から、さらに、確認したい部分について、幾つかの追加調査を実施したい。 本研究は、知識を与えたり、思い込みを正したり、様々な条件において、死刑制度や厳罰化に対する意見がどう変わるかを検討している。たとえば、犯罪状況が良好で、実は凶悪犯罪が減っていることを教えれば、確かに死刑賛成者の比率は減少する。しかしながら、その変化の度合いは、数パーセントにすぎない。統計的に有意差があるとしても、民主主義の多数決制度のなかで、数パーセントの変化は政治的には無力に近い。これを大きく動かすことということを探りたい。そうなってくると、詳細な程度問題を測定する必要が出てくるため、インターネット調査による精査は有効的と考えている。 具体的には、死刑冤罪があるとすれば、死刑制度に賛成かどうか聞く場合において、死刑冤罪がひとりでもなのか10パーセントなのか20パーセントなのかといったことである。
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Remarks |
新学術領域研究「法と人間科学」の枠内の班なので、中心の北海道大学が全ての班についてまとめている中に置かれている。中心はhttp://law-human.let.hokudai.ac.jp/です。
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Research Products
(1 results)